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AI-OCRが苦手な書類|縦書き・マークシート・丸囲み数字と、帳票を作り直せないときの対処

縦書きとマークシートは、PFUの公式FAQで対応可否が明言されています。丸囲み数字は、調べても記述自体が見つかりませんでした。取引先や役所指定の帳票は作り直せない前提で、読み取れないと分かった後の運用を先に決める考え方を整理しました。

AI-OCRが苦手な書類|縦書き・マークシート・丸囲み数字と、帳票を作り直せないときの対処

この記事は、専任のIT担当を置いていない中小企業の経理・総務担当者に向けて書いています。請求書や申込書をAI-OCRで読み取りたいものの、取引先や役所から届く帳票が縦書きだったり、マークシート形式だったり、丸囲みの数字で選択させる様式だったりして、そのまま読み込めるか判断がつかない、という状況を想定しました。

扱う課題は、書式ごとの対応可否と、対応できないと分かった後にどう運用するかの2つです。多くの解説記事は「不鮮明」「薄い筆跡」といった画質側の原因を挙げ、対策として「はしご枠にする」「ドロップアウトカラー帳票にする」など帳票そのものを作り直す方法を勧めます。ところが取引先の請求書や役所指定の申請書は、自社の都合で様式を変えられません。作り直せない前提に立ったとき、何を先に決めておけばよいかを扱います。

扱わないことも先に書きます。製品の比較やランキングはしません。読み取り結果の検算方法はAI-OCRで請求書や納品書を読み取る、導入の進め方はAI-OCRの導入手順、確信度スコアなど読み取りの仕組みはAI-OCRの仕組みに譲ります。丸囲み数字については、調査したものの対応可否の記述自体が見つかりませんでした。分からないことは分からないまま書きます。

結論|対応可否を、使う前に確認する

結論は、対応可否を精度改善の工夫より先に確認することです。縦書きとマークシートについては、少なくとも1製品の公式文書で対応・非対応が明記されていました。丸囲み数字は、調べた範囲では対応可否そのものが書かれていません。「読み取れるはずだ」という前提で契約し、届いてから気付く事態を避けるには、書式ごとに何が分かっていて何が分かっていないかを、次の表で先に整理しておく必要があります。

書式分かっていること出典未確認の点
縦書きPFU DynaEye 11は非対応。ただし横1文字ずつの文字枠を縦に並べれば読み取り可能という回避策があるPFU DynaEye 11 公式FAQ(確認日2026-09-15)他社製品の対応可否は本記事では未確認
マークシート・OMR帳票PFU DynaEye 11はタイミングマークを検出する機能がなく、OMR専用用紙・ドロップアウトカラー帳票を処理できない同上OMR専用機能を持つ他製品や専用ソフトの存在は本記事では未確認
丸囲み数字対応可否の記述自体が見つからない調査した公式FAQ・Tips・第三者記事のいずれにも記載なし対応するかどうかが不明。ベンダーへ個別確認が必要
手書き文字(参考)PFU DynaEye 11は「クセのある手書き文字の読み取りにも対応」と説明同上精度を示す数値は公式文書に記載がなく本記事では扱わない

縦書きの帳票|対応する製品としない製品がある

PFUのDynaEye 11は、公式FAQで「縦書きには対応しておりません」と明記しています。同じ項目には、横1文字ずつの文字枠を縦に並べて配置すれば読み取れる、という回避策も書かれていました。出典はPFU DynaEye 11 公式FAQ、確認日は2026-10-02です。

これはDynaEye 11という特定製品の仕様であり、AI-OCR全般が縦書きに対応していないという意味ではありません。他社製品の対応可否は、本記事の調査範囲では確認できていません。導入を検討する製品ごとに、実際の縦書き帳票を読み込ませて確かめる必要があります。

帳票のパターン読み取りの扱い(DynaEye 11の場合)自社でできること
行全体が縦書きの文章になっている帳票対応しない対象から外し、手入力または委託に回す
1文字ずつ枠があり、それが縦に並んでいる帳票横方向の文字枠を縦に並べる設定であれば読み取れる場合がある同じ設定機能を持つ製品かどうかを商談で確認する

「縦書き対応」で絞り込める比較サイトも複数あります。ただしフィルタ条件として掲載されているだけで、各製品が公式資料でどこまで対応すると述べているかまでは示されていません(2026-09-15確認)。比較サイトの掲載有無だけで判断せず、検討する製品の公式資料を最終的には確認してください。

マークシート・OMR帳票|専用機能が無い製品は処理できない

一般的な「マークシート対応」という訴求の多くは、チェックボックスや丸印をAIの画像認識で読み取る機能を指しています。これはOMR専用のタイミングマーク検出とは別の技術です。ここで扱うのは後者、すでに配布された専用用紙を処理できるかどうかに限ります。

同じFAQに、マークシートについての記述もあります。「タイミングマークを検出する機能がないため、マークシート(OMR専用用紙、ドロップアウトカラー帳票)を処理することはできません」と説明されていました。タイミングマークは、OMR専用の読み取り機が用紙の位置を認識するための印刷で、これを検出する機能を持たない製品では、塗りつぶしの位置を正しく拾えません。出典は前掲のPFU DynaEye 11 公式FAQ、確認日は2026-09-15です。

ただし、同じ公式FAQでは、隣接するマークとの間隔を上下左右とも2mm以上、マーク欄を4mm×4mm以上にした帳票であれば、マークフィールドとして読み取れるとも説明されています。すでに配布済みのOMR専用帳票をそのまま処理できるという意味ではなく、これから作る帳票の設計条件です。出典は前掲のPFU DynaEye 11 公式FAQ、確認日は2026-10-02です。

帳票の状態対応の可否自社で見直せる範囲
すでに配布済みのOMR専用用紙・ドロップアウトカラー帳票処理できない(DynaEye 11の場合)見直せない。相手方が発行した帳票のため
これから自社が作る選択式の帳票マークシート形式にすれば手書きを減らせるという推奨がある見直せる。様式を決める段階で反映できる

丸囲み数字|対応可否の記述自体が見つからない(未確認事項として明記)

丸囲み数字については、PFUの公式FAQ・Tips、それ以外に実読した競合記事のいずれにも、対応可否を明言した記述が見つかりませんでした。これは「対応していない」という結論ではなく、「調べても分からなかった」という状態です。推測で埋めず、未確認のまま書きます。

丸囲み数字は、アンケート形式の申込書や役所の届出書で、選択肢を囲んで示す用途によく使われます。文字の形が通常の数字と異なるため、製品によって扱いが分かれる可能性があります。導入を検討する際は、実際に使っている帳票のサンプルを持ち込み、丸囲み数字の欄を含めて試し読みさせてもらうのが、記述のない項目を確かめる唯一の方法です。

確認した情報源確認した内容丸囲み数字への言及
PFU DynaEye 11 公式FAQ縦書き・マークシートの対応可否なし
PFU digitarakuru Tips帳票設計の推奨事項なし
AI-OCR紹介・検証記事(複数)使えない原因と改善策の一般論なし

帳票を作り直せないときにできること(運用側の代替策)

取引先が発行する請求書や、役所が指定する届出書は、自社の判断で様式を変えられません。対応できないと分かった帳票を、無理に読み取らせようとする前に、運用側の代替策を先に決めておくと、担当者が個別に判断する場面を減らせます。

状況対処注意点
縦書きの帳票が定期的に届く対象から外し、最初から手入力の運用にする「一部だけ手入力」を許すと、混在で確認漏れが起きやすい
マークシート形式の届出書が読み取れない塗りつぶし箇所だけ目視で転記し、他の項目だけAI-OCRに回す項目ごとに処理経路が分かれるため、担当者への引き継ぎを明文化する
丸囲み数字の対応可否が不明なまま契約した本番導入前に、該当帳票だけ別枠で試し読みしてもらう「全体としては使える」に丸囲み数字の欄も含まれているとは限らない

目視に回す作業を誰が担当し、どのタイミングで確認するかは、帳票の種類ごとに決めておく必要があります。確認する人の決め方はAIと人の役割分担で扱いました。

記入例|対応可否チェックシート

下の表は、届いた帳票を書式ごとに仕分け、対応可否と運用の扱いを1枚にまとめるためのチェックシートの記入例です。枚数と対応可否は考え方を示すための仮の値であり、実際の計測結果ではありません。

帳票の種類月間の枚数(仮)対応可否運用の扱い
取引先発行の請求書(横書き)約120枚(仮)対応AI-OCRで読み取り、確信度が低い項目のみ目視
一部取引先の縦書き請求書約15枚(仮)非対応最初から手入力
役所指定のOMR形式届出書約8枚(仮)非対応塗りつぶし欄のみ目視転記
申込書の丸囲み数字欄約20枚(仮)未確認ベンダーへ試し読みを依頼中

よくあるつまずきと対処

縦書き・マークシート・丸囲み数字といった書式にまつわるつまずきを6つ挙げます。原因の多くは、契約前に自社の帳票そのもので確かめていなかったことに集中しています。

つまずき主な原因対処
契約後に縦書きの帳票が読み取れないと分かった契約前に自社の帳票サンプルで試していない商談時点で実物のサンプルを持ち込み、試し読みしてもらう
OMR形式の届出書がまとめて手入力に戻ってしまったタイミングマーク検出機能の有無を確認していなかったマークシート専用の読み取り機能があるかを個別に聞く
丸囲み数字の欄だけ結果が空欄になる対応可否が製品ドキュメントに書かれておらず未確認のまま使った導入前に該当欄を含めて試し読みを依頼する
一部だけ手入力にしたら、どちらの経路を通ったか分からなくなった処理経路を分ける運用を決めずに始めた帳票の種類ごとに処理経路を一覧にし、担当者へ共有する
取引先に帳票の変更を依頼して断られた自社の都合を先方の様式変更で解決しようとした様式は変えられない前提に立ち、自社側の運用を変える
試し読みの結果が良かったのに本番で精度が落ちた試したサンプルが実際に届く帳票の種類を網羅していなかった複数の取引先・複数の書式でサンプルをそろえて試す

読み取れるかどうかは、製品の公開資料で事前に確かめられます。MicrosoftのDocument Intelligenceは、読み取った項目ごとに確信度を返す仕組みを公開しており、値が低い箇所だけを人が見る運用が組めます(精度と信頼度スコア、確認日2026年10月13日)。独自様式の帳票を扱う場合は、学習させる仕組みの有無も確認する項目になります(Google Document AI のカスタム抽出、同日確認)。

苦手な書類を避けるだけでなく、確信度の閾値をどこに置くかで人が見る枚数が決まります。月に300枚を処理する場合、閾値の設定しだいで確認の対象は数枚から数十枚まで動きます。縦書きやマークシートが混ざる帳票では、この幅がさらに広がります。精度の小数点以下より、こちらのほうが作業量に効きます。

帳票の作り替えが難しい場合、読み取りを諦めるか、確認を前提に設計するかの二択になります。2026年版中小企業白書は省力化投資を「機械化やITツールの活用、AIの活用等によって、従前と同等又はそれ以上の付加価値を創出するために投入する労働量を減少させること」と定義しています(2026年版中小企業白書 第2部第2章、確認日2026年10月13日)。読み取れない帳票を無理に通すより、様式を変えられる帳票から順に対象にするほうが、この定義に沿います。

導入前にベンダーへ確認する質問リスト

商談で聞く内容を、書式ごとの対応可否に絞って5つにします。どれも「できる・できない」で答えが返る形にしました。その場で分からない場合は、後日の文面回答でも構いません。

確認すること確かめたい理由「できない」と言われたときの対処
縦書きの帳票に対応しているか。対応する場合、条件はあるか縦書きは製品によって対応が分かれるため対象から外すか、文字枠の配置などの条件に帳票を合わせられるか検討する
マークシート・OMR専用用紙を処理できるかタイミングマーク検出機能の有無で結果が変わるため塗りつぶし欄だけ目視に回す運用を決めておく
丸囲み数字を含む欄を読み取れるか。実際のサンプルで試せるか製品ドキュメントに記述がないことが多いため本番導入前に該当帳票だけ別枠で試し読みしてもらう
対応できない書式が混じった帳票束を渡したとき、どう処理されるか一部だけ空欄で返る製品と、全体が止まる製品があるため空欄を検知して目視へ回す仕組みを自社側で1つ用意する
試し読みに使えるサンプル枚数と期間はどれくらいか本番で使う帳票を網羅して試せるかが変わるため主要な取引先・書式の分だけサンプルをそろえて依頼する

タイムカードは別記事へ|導入手順は既存記事を参照

タイムカードの読み取りは、様式が縦書き・マークシート・丸囲み数字とは別の事情(打刻の重なり・手書き修正など)を持つため、この記事では扱いません。AI-OCRを導入する際の決める順序とやめる基準はAI-OCRの導入手順にまとめてあります。読み取りの仕組みや確信度スコアの考え方を先に知りたい場合はAI-OCRの仕組みを、読み取り後の検算方法はAI-OCRで請求書や納品書を読み取るを参照してください。

公的資料の事例:システムを入れるために、部品の呼び方から作り直した会社

様式そのものを作り直した事例があります。岡山市のフジワラテクノアートは従業員145人で、醸造設備を個別受注生産しています。生産管理システムを導入しようとしたとき、製品が毎回違う材料と異なる手順で作られるため、現場には「システム化は無理だ」という発想が根強くありました。さらに導入のためには、部品の読み方やコード体系、製造番号などを検討し直す必要があり、膨大な作業量が立ちはだかったとされています。副社長が、目的はビジョンの達成であり手段としてシステム化が必要だと繰り返し説くことで、この壁を越えています(中小機構 J-Net21「中小企業とDX」、2023年7月3日掲載、2026年10月30日確認)。

従業員145人の製造業で、作り直したのは部品のコードです。読み取りにくい帳票の話に移すと、同じ構えになります。縦書きや丸囲みの数字が苦手だと分かったとき、選べる道は2つです。読み取る側の精度を上げる道と、帳票の様式を作り直す道です。後者は手間が大きく見えますが、自社が発行している帳票なら変えられます。取引先から届く様式は変えられないため、まずどちらに当たるかを分けてください。

HVLなら、読めない書類を作り直す前に分ける

以下はHVL(ハイ・ヴァーチュ・ラボ)の見解です。苦手な書類が混ざった束をそのまま読ませると、全体の精度が落ちて判断を誤ります。HVLは様式を変えられない場合、読める書類と読めない書類を受け取りの段で分けます。分けておけば、後者だけを人が持てます。

分け方が決まってから、様式の変更を相手へ依頼するかを考えます。HVLのAI活用プロパートナーでは、文書作成や情報整理を含むバックオフィスの業務を確認し、活用の方法を検討します。

まとめ|今週やること

今週できることを1つだけ挙げます。直近1か月に届いた帳票を種類ごとに並べ、縦書き・マークシート・丸囲み数字が含まれるものを洗い出してください。該当する帳票があれば、それを1〜2枚だけ持って、検討中のベンダーへ「このサンプルで試し読みできますか」と依頼します。対応可否は、製品の説明を読むより先に、自社の帳票そのもので確かめるのが最も確実です。

自社に届く帳票の種類と対応可否を整理したい場合は、お問い合わせから帳票の種類と月間の枚数をお知らせください。縦書き・マークシート・丸囲み数字が混在している場合も、運用側の振り分け方から一緒に検討します。

ここまでの整理を踏まえて、無料診断で現在の段階を確認できます。

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編集者K

技術確認: 編集者K/ 最終更新: 2026.10.13