議事録AIを無料で使いたい、と検索して出てくるのは、6個から18個のツールを並べた比較表です。従業員10〜20名で、情報システムの専任者を置かないまま会議の記録を任されている人にとって、その一覧は選ぶ材料になりません。数が多いことより、いま自分の会議で使えるかどうかが知りたいはずです。この記事は、無料枠を使い始める前に見ておく3点と、対面の会議で何が起きるのかを、公式ページで確認できた範囲だけで書きます。
実務で詰まるのは、ツールの数ではありませんでした。無料プランで録った音声がどう扱われるのか、会議室にスマートフォンを1台置いただけで発言者が分かれるのか。この2つが分からないまま使い始め、後から社外秘の会議まで通していたと気付く。上位に並ぶ5本を読みましたが、無料プランの音声が学習に使われるかどうかに触れたページは1本もありませんでした。ここが、この記事でいちばん厚く書く部分です。
扱わないものを先に書いておきます。順位づけと、おすすめを1つに決めることはしません。無料枠と料金は改定されるため、本文の数値はすべて2026年9月5日に公式ページで確認した時点のものです。議事録の書式や確認者の置き方、録音を断られたときの進め方は別の記事にまとめてあり、ここでは繰り返しません。個別の契約条件が自社の要件を満たすかどうかの判断も、この記事では代われないものです。
先に結論|無料で試すのは問題ない。移す前に3つだけ見る
無料プランで試すこと自体に、止める理由はありません。買う前に自分の会議で試すのは順序として正しく、社内の会議を1回通してみれば、使えるかどうかはだいたい分かります。問題があるのは、試したまま業務の記録へ静かに移行してしまうところです。試用と業務利用の境目が、誰も宣言しないまま消えていきます。
無料プランは、同じ製品の有料プランと扱いが違うことがあります。値段と使える分数だけの違いだと思って読むと、そこを見落とします。社外秘を含む会議へ広げる前に確認するのは3つです。入力した音声が学習に使われるか、音声と文字起こしがいつまで保存されるか、そして対面の会議で必要な精度が出るか。
3つとも、ツールの比較表には載っていません。1つ目と2つ目は提供元の公式ページと問い合わせで確かめる項目で、3つ目は自社の会議を1回録ってみるしかない項目です。以降はこの順に、公式ページで確認できた事実と、確認できなかったことを分けて書いていきます。
公式ページで確認できた無料枠(2026年9月5日時点)
まず、公式の料金ページやサービスページで文言を確認できたものだけを並べます。競合記事に載っていても公式ページで裏が取れなかった数値は、この表に入れていません。空欄を埋めることより、確認できていない項目を見えるようにするほうが、判断を間違えにくいと考えたためです。
| サービス | 公式ページで確認できたこと | 公式ページで確認できなかったこと | 確認したページ |
| Notta | 無料プランは月120分、1回あたり3分まで、月50ファイル、AI要約は月10回 | 対面での録音精度についての記載 | notta.ai/en/pricing |
| LINE WORKS AiNote | フリープランがあること。FAQに学習利用の扱いが書かれていること | フリープランで使える分数 | line-works.com/ainote/ |
| Rimo Voice | Teams・Zoom・Google Meet・Webexとの連携と、iOS/Androidアプリの提供 | 無料で使い続けられるプランの有無(ページ上は「無料トライアル」の表記のみで、無料プランの記載は見当たらず) | rimo.app/voice |
| tl;dv | 今回は何も確認できず。料金ページがJavaScriptで描画されており、本文の文言を取得できなかった | 無料プランの有無と料金を含む、ページ上のすべての記載 | tldv.io/app/pricing/ |
| Zoom AI Companion | 有料アカウントの顧客に追加費用なしで含まれること | 無料のBasicアカウントへ提供されるかどうか | news.zoom.com |
「公式に確認できず」は、その機能や枠が存在しないという意味ではありません。公式ページの文言としては見つけられなかった、という意味だけです。競合記事のいくつかは、この欄に相当する数値を具体的に書いています。ただし出典が示されておらず、たどると別の記事へ行き当たる。孫引きの数値を社内の判断根拠にすると、改定があっても誰も気付けません。
料金と無料枠は改定されます。上の表は2026年9月5日に確認した内容であり、来月には変わっている可能性があります。申し込む直前に、その製品の料金ページを自分で開いてください。表をそのまま社内へ回すなら、確認日を消さずに残しておくと、いつ時点の話なのかで揉めずに済みます。
無料プランの音声は、学習に使われることがある

ここがこの記事の中心です。LINE WORKS AiNoteの公式ページには、文字起こしした内容をAIの学習データとして利用しない、という記載があります。ただしそこには「(有償プランのみ)」と併記されています。同じページのFAQには、フリープランを利用している場合、エクスペリエンス向上および同社のAI技術(音声認識技術・自然言語処理技術)の性能向上のために、提供した録音音声を利用する場合があることに同意している、という趣旨の記載があります。同じ製品でも、料金を払っているかどうかで音声の扱いが変わる、ということです(2026年9月5日に公式ページで確認)。
Rimo Voiceの公式ページは、セキュリティへの取り組みを並べた箇所に、AIの学習にデータを使わない旨の項目を掲げています。ページ内に同じ趣旨の記載が複数あり、方針として明示されているものと読めます。ただしこの製品のページに無料で使い続けられるプランの記載は見当たらず、確認できたのは無料トライアルの案内だけでした。無料で使う話としては比較の対象に入りません(2026年9月5日確認)。
| サービス | 公式ページから読み取れた学習利用の扱い | 無料と有料で扱いが変わるか |
| LINE WORKS AiNote | 有償プランは学習利用なし。フリープランは音声が自社AIの改善に使われうる旨がFAQにある | 変わる、と公式ページに書かれている |
| Rimo Voice | セキュリティの項目として、AI学習にデータを使わない旨を掲示(ページ内に複数箇所) | 無料で使い続けられるプランが見当たらないため、比較の対象にならない |
| Notta・tl;dv・Zoom AI Companion | 料金ページと発表のみを確認。学習利用の記載までは当たっていない | 確認していないため、書けない |
| 上記以外の製品 | この記事では確認していない | 確認していないため、書けない |
下の2行を空欄にしませんでした。確認していないことを書かずに済ませると、読んだ人は「表に無い=問題ない」と受け取ります。今回開けたのは公式ページの一部であり、各社の利用規約やプライバシーポリシーの全文までは当たっていません。使う製品が決まった時点で、その製品の規約は自分で開いてください。
2026年9月5日に上位を確認した時点では、並んでいた5本の比較記事のいずれもこの論点に触れていませんでした。無料プランの有無と分数は書かれているのに、無料だと扱いが変わるかどうかは書かれていない。選ぶ側から見ると、いちばん効く情報が抜け落ちています。運営元がツールのベンダー自身であるページも混ざっており、比較の体裁のまま自社製品が厚く書かれていることもありました。
問い合わせるときの文面は短くて構いません。「無料プランで入力した音声と文字起こしは、貴社のAIの学習や改善に使われますか。使われる場合、停止する方法はありますか」。この2文で十分でしょう。返答がなかった項目は「不明」と書いて残し、その製品では社外秘を含む会議を録らないという運用にしておけば、判断がその場の空気に左右されなくなります。
対面の会議で落ちるのは、なぜか
検索されている語で最も多いのが「対面」との組み合わせです。ここで外しておきたい思い込みがあります。Web会議なら参加者ごとに音声が分かれているから話者識別は簡単で、対面はマイクが1本だから難しい、という理解です。公式ドキュメントを読むと、この理解は既定の設定では成り立ちません。Zoomのクラウド録画は全員の声が混ざった単一のトラックで、参加者別に分けるにはアカウント設定の変更とAPI連携の申請が要ります。対面はさらに条件が重く、同室の複数人を個別に識別するには対応デバイスと有償ライセンス、各参加者の事前の音声登録が前提になります。
つまり会議室にスマートフォンを1台置いた状態は、どちらの仕組みにも当てはまりません。機械に残された手がかりは音の違いだけで、名前が入れ替わると誰が何を引き受けたのかが逆になります。各サービスの要件と、録音を断られたときの進め方は議事録AIの注意点で、つまずく型の全体は議事録をAIで作るで扱っているため、ここでは繰り返しません。無料のツールを選ぶ側として押さえるのは、話者のラベルを信用しない前提で運用する、という1点です。
スマートフォン1台で対面の会議を録るとき
前提が揃わないとはいえ、スマートフォン1台で録ること自体は現実的な選択です。買い足す前にできることがあり、それがよく効きます。まずマイクの位置。テーブルの中央で、紙やケーブルの上ではなく硬い面に直置きし、プロジェクターやエアコンの吹き出し口から離す。ケースを付けたまま伏せて置くと、それだけで遠い席の声が落ちます。
次が、発言の重なりです。相槌が発言に乗ると、そこから話者のラベルが崩れやすくなります。全員に静かにしてもらう運用は続かないので、代わりに決定の場面だけを区切る。「いまの件は◯◯さんが来週金曜まで」と、進行役が声に出して確認します。この一言があると、文字起こしが崩れていても決定事項の行だけは復元できます。
三つ目が、専門用語と社内の略称です。取引先の社名、製品の型番、社内でしか通じない略語は、文字起こしでほぼ間違います。ツールに用語登録の機能があるなら、頻出する20語ほどを先に入れておく。無い場合は、議事録を直す時間に用語の修正が毎回入る前提で見積もっておくほうが、後から慌てずに済みます。
よくあるつまずきと対処
| つまずき | 主な原因 | 対処 |
| 遠い席の発言だけ文字起こしが崩れる | マイクからの距離があり、音量が足りていない | 端末をテーブル中央の硬い面へ直置きし、発言時に少し前へ寄ってもらう |
| 話者の名前が入れ替わる | 声の事前登録がなく、音の違いだけで分けている | 話者ラベルは信用せず、決定事項の担当者だけを人が書き直す |
| 社名や型番が毎回誤変換される | 固有名詞と社内略語が辞書に入っていない | 用語登録があれば頻出20語を先に登録し、無ければ修正時間を見込む |
| 1時間の会議が途中で切れる | 無料プランの1回あたりの上限に当たっている | 1回あたりの上限を先に確認し、超えるなら区切って録るか有料へ移る |
| 要約に決定事項が入らない | 会議中に「決まったこと」と分かる形で言われていない | 進行役が決定の直後に口頭で復唱し、その一言を音声に残す |
| 直す時間が録音時間を超える | 文字起こしの全文を読み直す運用になっている | 読む範囲を、決定事項と担当者の行だけに絞る |
6つのうち下の3つは、機械の性能ではなく会議の進め方の問題です。精度を上げるために機材や有料プランへ向かう前に、会議の中で決定事項を口頭確認する形へ変えるほうが、早く、確実に効きます。議事録づくりが止まる典型的な型と、短縮した時間の測り方は議事録をAIで作るにまとめました。
ZoomやTeamsを使っているなら、契約済みのものを先に見る
新しい無料ツールを探す前に、いま払っているサービスに機能が含まれていないかを見てください。Zoomの公式発表では、AI CompanionはZoomの有料アカウントの顧客に追加費用なしで含まれるとされています。すでに有料アカウントを使っているなら、会議の要約はその中にある可能性がある。無料のBasicアカウントへ提供されるかどうかは、今回は確認できませんでした。
この確認を先に置く理由は、費用ではありません。契約済みのサービスに含まれる機能なら、音声の送信先が増えないからです。無料ツールを1つ足すたびに、社外へ音声が渡る経路が1本増えます。経路の数は、そのまま読んで判断しなければならない規約の数になり、確認しきれない経路が残ると社外秘の線引きも守れません。
管理画面のどこを見るかは製品ごとに違いますが、探す語はだいたい共通です。要約、文字起こし、トランスクリプト、AIアシスタント。管理者の権限がないと開けない設定になっていることも多いため、契約の名義になっている人と一緒に見るのがいちばん早い進め方でしょう。
無料のまま業務で使ってよいかを判断する
試用から業務利用へ移るときに決めておく項目は、それほど多くありません。次の表の左が確認すること、右が確認しないまま進めた場合に起きることです。どれも起きてからでは戻しにくい種類のもので、確認そのものは合わせて1時間もかかりません。
| 確認すること | どこで確認するか | 確認しないまま進めると |
| フリープランと有償プランで音声の扱いが違わないか | 公式ページのFAQと利用規約 | 料金を理由に選んだ側が、音声の扱いまで別条件だったと後で分かる |
| 個人のアカウントで使っていないか | 誰の名前とメールアドレスで登録したか | 退職と同時に、過去の議事録ごとアカウントが会社の手から離れる |
| 無料枠を超えた月に、どう扱われるか | 料金ページの、上限に達した場合の記載 | 月の途中で録音が止まり、その回の記録だけが残らない |
3行目は、10〜20名の会社でいちばん起きやすい形です。担当者が自分のメールアドレスで無料登録し、そのまま会議の記録が溜まっていく。退職の連絡を受けてから気付いても、アカウントの中身は取り出せません。無料であっても登録は会社のアドレスで行う、というのが最初の一手になります。
4行目の線引きそのものは、この記事の範囲を超えます。どの情報を生成AIへ渡してよいかの基準は生成AIに入力してはいけない情報にまとめてあり、会議もその基準の中で判断できます。会議だけの特別な基準を作ると、他の業務との整合が取れなくなり、結局どちらも守られなくなりがちです。
有料へ移る目安は、月の会議時間が無料枠を超えたとき
切り替えの判断は、複雑にしないほうが続きます。基準は1つでよく、月に録る会議の合計時間が無料枠を超えたら有料へ移る、で足ります。品質や機能で比べ始めると決まらなくなりますが、時間なら数えられる。
注意点が1つあります。月の合計だけを見ていると、1回あたりの上限で先に当たることがある。Nottaの無料プランは月120分ですが、1回あたり3分までという上限も併記されています(2026年9月5日に公式の料金ページで確認)。1時間の会議は、月の枠へ届く以前に、1回では収まりません。
自社の会議時間を数える(記入例)
次の表は記入例です。数値は考え方を示すための仮の値で、どこかで実測したものではありません。自社の会議名に置き換えれば、10分ほどで埋まります。
| 会議の型(仮の値) | 月の回数 | 1回の長さ | 月の合計 |
| 週次の営業会議 | 4回 | 60分 | 240分 |
| 月次の全体会議 | 1回 | 90分 | 90分 |
| 取引先との打ち合わせ | 3回 | 45分 | 135分 |
| 採用の面接 | 2回 | 40分 | 録らないと決めたので合計に入れない |
| 録る対象の合計 | 8回 | — | 465分 |
この仮の値なら、月120分の無料枠は初月の1週目で超えます。週1回1時間の定例が1つあるだけで、月240分になるからです。裏を返せば、月に数回の会議だけを記録するのであれば、無料枠のままで収まる可能性があります。自社がどちら側なのかは、上の表を埋めた時点で見当がつくはずです。
もう1つの目安が、直す時間のほうです。文字起こしを直す時間が会議そのものの時間を超えているなら、無料枠の中で工夫を続けるより、要約の質が違うプランを1か月だけ試して比べるほうが早い。比べる対象は料金ではなく、直しにかかった時間にしてください。
よくあるご質問
完全に無料で使い続けられるツールはありますか
無料プランがある製品は存在します。ただし無料枠の分数や回数、保存期間、音声の扱いは、提供元の判断でいつでも変わります。今回確認した範囲でも、公式ページに無料枠の分数が書かれていない製品がありました。無料で続けられるかどうかは、使い始めるときに一度だけ調べる性質のものではなく、数か月ごとに料金ページを開いて確かめ直すものだと考えてください。
iPhoneのアプリだけで対面の会議を記録できますか
録音と文字起こしはできます。分かれにくいのは発言者のほうです。同じ部屋にいる複数人を個別に識別する仕組みは、対応デバイスや各人の事前の音声登録を要件にしているものが多く、端末1台では前提が揃いません。話者のラベルは参考にとどめ、決定事項と担当者だけは会議中に口頭で確認しておくのが確実な進め方になります。
おすすめを1つ挙げるとしたらどれですか
この記事では1つに絞りません。順位をつけた記事は多くありますが、選ぶ条件が会社ごとに違うため、他社向けの順位はそのままでは使えないからです。代わりに絞る順序を示します。まず契約済みのサービスに要約機能が無いかを見る。次に、候補の無料プランについて学習利用と保存期間を確認する。残ったものを、自社の会議1回で試してください。
無料プランで社外秘を含む会議を記録してよいですか
学習利用と保存期間を確認するまでは、避けるほうが安全側の判断です。無料と有料で音声の扱いが変わると公式ページに書いている製品が、実際にありました。確認が取れていない段階では、社内の定例のように外へ出ても困らない会議から始めてください。範囲を広げるのは、確認が済んでからで遅くありません。
まとめ|今週やること
無料で試すことに問題はなく、止める理由もありません。ただし無料プランは有料プランと扱いが違うことがあり、その違いは比較表に出てこない。学習利用、保存期間、対面で必要な精度が出るか。この3つを確認してから、業務の記録へ移してください。
今週1つだけ着手するなら、いま使っている、あるいは使おうとしている製品の公式ページを開くところからです。無料プランの音声が学習に使われるかどうかを探し、見つかった文言と確認日をメモに1行で残す。見つからなければ「記載なし・2026年9月5日確認」と書いておく。10分で終わりますが、これだけで来月の判断が推測ではなくなります。
この記事で数値と文言を確認した公式ページは次のとおりです。Zoomの開発者向けドキュメント、Microsoft TeamsとAzure、Google Cloudの各ドキュメントは2026年9月4日に確認しました。
- Notta 料金プラン 2026年9月5日確認
- LINE WORKS AiNote サービスページとFAQ 2026年9月5日確認
- Rimo Rimo Voice サービスページ 2026年9月5日確認
- tl;dv 料金ページ 2026年9月5日確認
- Zoom AI Companion に関する公式発表 2026年9月5日確認
契約済みのサービスに要約機能が含まれていないかの確認や、無料枠を超えたときにどのプランへ移すかの整理について相談を受けています。使っている製品名と、月に録る会議の本数を添えてお問い合わせからご連絡ください。
ここまでの整理を踏まえて、無料診断で現在の段階を確認できます。
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