調査

生成AIの活用事例|専門文書の翻訳・要約で広告の反応が2倍になった会社

光学機器を扱う商社が、生成AIで海外論文の要約と英語マニュアルの翻訳、広告文案を作成し、広告のレスポンスが月平均5件から多い月で45件になりました。出典に書かれていないことも合わせて示します。

この記事は、従業員10〜20名の事務系中小企業で、生成AIを文書作成のどこに使えるか探している経営者・営業担当・管理部門に向けて書いています。取り上げるのは東京都新宿区の商社、株式会社オプトサイエンスの事例です。

扱うのは、専門性の高い文書の翻訳・要約と、広告文案の作成という2つの用途です。生成AIは雑務にしか使えないという見方に対して、専門知識が要る業務でも使われた例として示します。

出典には導入にかかった期間や費用、つまずきの記載がありません。うまくいった部分だけが書かれた事例であることを前提に読む必要があります。あわせて、規模の異なる岡田研磨株式会社の事例から、着手順序に関する部分だけを補助的に取り上げます。

広告の反応が2倍になった会社の話

株式会社オプトサイエンスは、研究機関等を顧客に光学機器の輸入販売を行う商社で、従業員数は33名です。取り扱う製品は最先端かつ専門性が高く、営業担当者が海外論文や英語マニュアルを自分で探して読み込み、技術解説文書を作成していました。広告についても、広告づくりに不慣れな営業担当者が担当し、広告枠を有効に活用できていなかったと記載されています。

宍野吉虎社長は2023年に生成AIに衝撃を受け、いち早く導入しました。営業担当者は論文要約や英語マニュアル翻訳にAIを使い、技術的な知識を補完。広告づくりでは、商品選定や訴求ポイント、キャッチコピー案をAIに出力させています。結果として、広告のレスポンスは平均で2倍以上に増加し、月平均5件程度だったのが、多い月には45件に達しました。出典は中小企業庁「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」PDF(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/2026gaiyou.pdf、p.26、確認日2026年9月24日)です。

専門性が高い商材が抱えていた課題

この会社の課題は2つに分かれます。1つは、専門性の高い製品説明を作る際、営業担当者が海外論文や英語マニュアルを自力で読み込む負担です。もう1つは、広告づくりに不慣れな営業担当者が広告枠を有効に使えていなかったという、本業とは別の業務での不慣れです。

いずれも専門知識そのものが無いのではなく、その知識を文書としてまとめる作業、あるいは不慣れな業務を代行してもらう相手がいなかったという課題です。この切り分けが、後述する用途の選び方につながっています。

生成AIをどこに使ったか

同社が生成AIを使ったのは、次の3つの場面です。専門文書の要約・翻訳という知識労働と、広告文案という不慣れな業務の両方に、同じ生成AIを充てています。

用途従来の担当生成AIの役割
海外論文の要約営業担当者が自力で読解要約を作成し、担当者が確認・補完
英語マニュアルの翻訳同上翻訳を作成し、技術的な知識を補完
広告の商品選定・キャッチコピー広告に不慣れな営業担当者が担当訴求ポイントとキャッチコピー案を出力

宍野社長は「AIは様々な可能性があり、経営資源が限られる中小企業こそ、使わない手はない。まずは触ってみて慣れることが重要」と述べています(出典同上)。専門文書の翻訳・要約は、業種を問わず、社外の資料を読み込んで社内向けに整形する作業全般に当てはまります。

出典に書かれていないこと

出典には、導入までの期間、費用、社内でのつまずきに関する記載が見当たりません。「AIに衝撃を受け、いち早く導入した」という経緯は書かれていますが、実際に営業担当者が使い始めるまでにどの程度の教育や試行錯誤があったかは記されていないままです。

数字(レスポンス2倍、月5件から45件)は具体的である一方、そこに至る過程が薄い事例です。うまくいった部分だけが公表されている可能性を前提に、次の節では規模の異なる別の事例から、着手順序に関する教訓だけを補います。

85名の製造業が経験した「使われない」失敗

石川県金沢市の岡田研磨株式会社は、建設機械や産業機械向け部品の加工・組立てを手掛ける企業で、従業員数は85名です。同社は生成AIとの対話を通じて自社独自の情報統合管理システム「OKADA Board」を開発し、生産管理・労務管理・原価管理など30以上のアプリを一元管理しています。出典は前掲の中小企業白書PDF(同ページ、確認日2026年9月24日)です。

規模(読者の4〜8倍)と業種(部品加工の製造業)が読者と大きく異なるため、システムを内製するという打ち手そのものは対象外です。ここで参考にするのは、導入初期に何が起きたかという着手順序だけです。同社は情報が属人化し、紙とExcelでの管理から脱却する過程で、まず全員が日常的に触れる業務から着手し、その後にノウハウ共有まで対象を広げたと記されています。専門性の高い一部の業務からではなく、全員が触れる業務から入れたという着手順序が、オプトサイエンス社の事例に欠けている部分を補います。

まず何から自社に入れるか

2つの事例をあわせると、着手先の選び方が見えてきます。専門性が高く負担の大きい業務(オプトサイエンス社の論文・マニュアル)と、全員が日常的に触れる業務(岡田研磨社の日次業務)のどちらから入れても展開自体は可能ですが、後者のほうが最初の抵抗は小さくなります。

自社に当てはめる場合は、まず翻訳・要約・文案作成のいずれか1つの用途に絞り、実際に使う担当者自身に試させることから始めます。生成AIが向いている業務の見分け方はAIに向いている業務の見分け方で、社員教育の進め方は生成AIの社員教育で扱っています。

よくあるご質問

翻訳や要約の内容は、AIが出したものをそのまま使ってよいですか

出典には、AIの出力をそのまま使ったか、担当者が確認・修正したかの詳細は記載がありません。専門文書の翻訳・要約は誤りが起きても気付きにくい分野であるため、担当者による内容の確認を前提にすることを勧めます。

広告文案の作成にも、社内で確認する工程は必要ですか

出典には確認工程の記載がありません。広告文案は対外的に公開される内容であるため、内容の正確さや誤解を招く表現がないかを、AIの出力後に人が確認する工程を挟むことを勧めます。

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編集者K

技術確認: 編集者K/ 最終更新: 2026.09.24