従業員10〜20名でDX専任者がいない中小企業向けに、業務棚卸し、候補業務の比較、安全確認、試行、効果測定、90日目の判断までを手順で解説します。
結論
最初の90日でやることは、ツールを選ぶことではありません。経営課題を1つ決め、それに関係する業務の担当・頻度・所要時間・待ち時間・転記・ミスを記録するところから始めます。
製品の比較は、現状値と評価方法を決めた後です。順序を逆にすると、何と比べて良くなったのかを言えなくなります。
90日目には、継続・修正・延期・中止のいずれかを決めます。判断の基準を着手前に書いておくことが、この期間で最も効く準備です。
中小企業のDXは何から始めるべきか|90日で目指す到達点
「DXを始めたいが、何から手を付ければよいか分からない」という段階では、製品探しから入らず、先に次の三つを決めます。
1. 改善したい経営課題を一つに絞る。
2. その課題に関係する業務の現状を記録する。
3. 改善候補を同じ基準で比べる。
本記事では、従業員10〜20名で専任者がいない会社を想定し、90日間の到達点を「全社DXの完成」ではなく「一業務を試した結果と、次の投資判断に必要な記録がそろった状態」とします。90日という区切りはAXDXラボによる実務上の提案であり、公的機関が定めた標準期間ではありません。
90日目にそろえたい成果物は、次の七つです。
・業務棚卸し表
・候補業務の比較表
・試行計画
・安全確認表
・試行記録
・導入前後の評価表
・継続・修正・延期・中止の判断記録
これらがそろっていれば、体感や印象だけに頼らずに次の対応を検討できます。
これから着手する方は、「従業員10〜20名・専任者なしで進める役割分担」で体制を決め、「0〜30日|業務を棚卸しして現状値を記録する」で現状を記録し、「候補業務の優先順位を決める比較基準」で対象を選ぶという順に読むと、実際の作業順と対応します。
DXとIT化・デジタル化の違い|ツール導入を目的にしない
「ツールを入れたのに業務が変わらない」という結果を避けるため、最初に用語の扱いを決めておきます。
ITツールの導入や紙情報のデータ化は、DXを進める手段になり得ます。ただし本記事では、ツールを入れること自体ではなく、経営課題に沿って業務や意思決定の方法を見直す取り組みをDXとして扱います。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21『DXを進める』は、経営者、社内担当者、外部専門家の役割を分け、身近な業務から取り組みを広げる流れを示しています。また、独立行政法人情報処理推進機構の『中小規模製造業者の製造分野における DX推進ガイド活用 徹底討論セミナー Q&A』では、目指す姿と現状の差を課題として捉え、データ収集から始める考え方が説明されています。
本記事の整理では、これらを踏まえ、製品の機能比較へ進む前に、「何を改善したいのか」「改善したと判断する指標は何か」を言葉にすることを出発点とします。DXとAXの関係や取り組む順序は、[AXとは何か|DXとの違いと中小企業が取り組む順序](https://www.axdx-labo.com/ax%e3%81%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%8b%ef%bd%9cdx%e3%81%a8%e3%81%ae%e9%81%95%e3%81%84%e3%81%a8%e4%b8%ad%e5%b0%8f%e4%bc%81%e6%a5%ad%e3%81%8c%e5%8f%96%e3%82%8a%e7%b5%84%e3%82%80%e9%a0%86%e5%ba%8f/)でも整理しています。
従業員10〜20名・専任者なしで進める役割分担
この節で決めるのは、誰が何を判断し、誰が記録を残すかです。本記事の整理では、経営者、兼任DX担当者、現場代表の三つの役割を置きます。一人が複数の役割を兼ねる場合も、どの立場で判断したのかを記録に残すことを勧めます。
・経営者:対象とする経営課題、予算の上限、扱ってよい情報、試行の中止条件、90日目の判断を担当する。
・兼任DX担当者:棚卸し表の管理、候補比較、製品・契約条件の確認、試行記録の集約、会議資料の作成を担当する。
・現場代表:現在の手順、例外処理、困りごと、試行時の負担、利用上の問題を記録する。
開始時に決めておく項目は二つです。各担当者が通常業務から割ける時間の上限と、依頼に対する回答期限です。上限を超える作業が見込まれる場合は、対象範囲を狭めるか、外部支援を検討します。
外部支援を使う場合も、目的、データの取り扱い、成果物の帰属、契約終了後の返却・削除方法を社内で確認します。この確認を担当する人を先に決めておくと、契約段階で判断が止まりにくくなります。
最初の90日ロードマップ|0〜30日・31〜60日・61〜90日の担当、成果物、確認会議
次の三期間は、AXDXラボが少人数企業向けに整理した実行枠組みです。日数だけを守るのではなく、各期間の完了条件を満たしてから次へ進みます。
【0〜30日|現状整理と対象選定】
主担当:兼任DX担当者、現場代表(経営者は目的と優先順位を承認)。
成果物:業務棚卸し表、現状値、候補比較表。
確認会議の議題:試行する一業務と、試行しない条件を決める。
完了条件:改善前の値、責任者、評価方法、安全上の確認事項が記録されている。
【31〜60日|一業務での試行】
主担当:兼任DX担当者、対象業務の現場代表。
成果物:試行計画、安全確認表、操作手順、問い合わせ先、日次または実施回ごとの記録。
確認会議の議題:中断条件への該当、未解決の不具合、現場負担を確認する。
完了条件:決めた範囲で試行し、評価に使える記録が残っている。
【61〜90日|評価と次の判断】
主担当:兼任DX担当者(経営者が最終判断、現場代表が運用上の所見を提出)。
成果物:導入前後の比較表、未解決課題、費用と運用負担の記録、判断記録。
確認会議の議題:継続・修正・延期・中止のいずれを採用するかを決める。
完了条件:継続・修正・延期・中止のいずれかと、その理由が記録されている。
0〜30日|業務を棚卸しして現状値を記録する
最初の30日で作るのは、後の比較と評価に使う一枚の記録です。業務名だけでなく、次の項目を同じ様式で記録します。
・担当者、実施頻度、1回あたりの所要時間、月間または週間の件数。
・入力元と出力先、転記の有無、待ち時間、差し戻し、ミス、例外処理、属人化の状況。
・扱う情報の種類と、現在使っているシステム。
所要時間や件数は、推測値と実測値を分けて書き、測定日と測定方法も残します。この区別があると、61〜90日の評価で、測定条件の違いによる差を改善効果と取り違えにくくなります。
顧客情報、従業員情報、契約情報、決済情報、営業秘密などを扱う業務は、利便性だけで候補にしません。保管場所、閲覧者、持ち出しの有無、保存期間、削除方法を確認し、安全要件を整理します。既存システムの仕様やデータ連携が分からない場合は、その確認自体を先行課題として記録します。
棚卸しの手順を詳しく確認したい場合は、[属人化を解消する業務棚卸しの進め方](https://www.axdx-labo.com/%e5%b1%9e%e4%ba%ba%e5%8c%96%e3%82%92%e8%a7%a3%e6%b6%88%e3%81%99%e3%82%8b%e6%a5%ad%e5%8b%99%e6%a3%9a%e5%8d%b8%e3%81%97%e3%81%ae%e9%80%b2%e3%82%81%e6%96%b9/)と、[中小企業がAI導入前に整理すべき業務](https://www.axdx-labo.com/%e4%b8%ad%e5%b0%8f%e4%bc%81%e6%a5%ad%e3%81%8cai%e5%b0%8e%e5%85%a5%e5%89%8d%e3%81%ab%e6%95%b4%e7%90%86%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%8d%e6%a5%ad%e5%8b%99/)も参照できます。
候補業務の優先順位を決める比較基準
棚卸しが終わったら、次は「どの業務から試すか」を決めます。候補を同じ条件で比べるため、本記事では五つの観点を各1〜3点で記録する方法を提案します。これはAXDXラボ独自の比較方法であり、公的な認定基準ではありません。
・経営目的との関係:目的との関係が弱い場合を1、直接関係する場合を3とする。
・影響範囲:一部の作業だけに関係する場合を1、重要な工程や複数担当に関係する場合を3とする。
・実施頻度:自社内で相対的に比較し、低い場合を1、高い場合を3とする。
・実行のしやすさ:手順や連携の変更が大きい場合を1、限定した範囲で試せる場合を3とする。
・安全性:重要な確認が残る場合を1、試行条件を定めて管理できる場合を3とする。
合計点だけで対象を決めることはしません。安全性が1の候補は延期します。同点の場合は、現状値を測れるか、責任者を置けるか、元の手順へ戻せるかを確認し、条件が明確な一業務を優先候補にします。
なお、既存システムの設定変更や手順変更で目的を満たせる場合は、新規契約を前提にしません。本記事の整理では、「導入しない」も候補の一つとして比較表に残します。
導入しない・延期する条件を先に決める
進め方だけでなく、進めない条件も試行前に決めます。本記事の整理では、次のいずれかに当てはまる場合、契約や本番データを使った試行を延期します。
・改善したい課題を一文で説明できない。
・導入前の現状値を記録できず、評価方法も定まっていない。
・責任者、現場代表、問い合わせ先を置けない。
・試行に必要な時間を確保できない。
・機密情報や個人情報の入力可否が決まっていない。
・権限、認証、バックアップ、復元、監査記録の要件を確認できない。
・契約終了時のデータ出力、返却、削除方法を確認できない。
・障害時に元の手順へ戻す方法がない。
・料金、契約期間、解約条件、追加費用を確認できない。
延期は失敗ではなく、判断の一つとして扱います。該当した場合は、未確認事項、確認担当、期限、再判定日を記録し、条件がそろった時点で改めて判断します。
31〜60日|一業務に絞って小さく試す
試行に入る前に、試行計画を一枚にまとめます。記載するのは、対象業務、対象者、使用するデータ、実施期間、利用手順、教育方法、問い合わせ先、中断条件、記録項目です。対象外の業務や利用者も明記し、試行中に範囲を広げる場合は経営者または指定責任者の確認を受けます。
試行中に記録するのは、次の項目です。
・実施日時、担当者、処理件数、作業時間。
・エラーや差し戻し、手作業で補った内容。
・問い合わせ、利用を見送った理由、現場の負担。
導入前と同じ測定単位で記録すると、そのまま比較に使えます。
中断条件への該当、意図しない情報共有、復元できないデータ変更、業務継続に影響する不具合のいずれかが確認された場合は、対象を広げず、原因と影響範囲の確認を優先します。試行中に生じた問題も記録に残すと、90日目の判断に使える材料が増えます。
試行前の安全確認|権限・認証・バックアップ・データ回収
クラウドサービスや外部ツールを使う前に確認するのは、「誰が何を閲覧・編集・出力できるか」です。東京都の『人手不足時代を乗り切るために 中小企業の「小さなデジタル化」はどこから始める?』では、権限、共有設定、多要素認証、退職者ID、バックアップ、契約終了時のデータ取り出しが確認事項として扱われています。
試行前の確認表には、少なくとも次の項目を含めます。
・管理者と利用者の権限が分離されているか。
・共有先を限定し、誤共有を確認できるか。
・利用できる認証方法とアカウント回復手順を確認したか。
・退職、異動、委託終了時にアカウントを停止できるか。
・バックアップの対象、頻度、保管先、復元手順を確認したか。
・操作履歴や管理者の変更履歴を確認できるか。
・契約終了時に必要な形式でデータを回収できるか。
・事業者側に残るデータの削除条件を確認したか。
生成AIを候補にする場合は、入力禁止情報、出力の確認者、利用履歴の扱いも定めます。社内ルールの作り方は、[生成AIの情報漏えいを防ぐ社内運用の作り方](https://www.axdx-labo.com/%e7%94%9f%e6%88%90ai%e3%81%ae%e6%83%85%e5%a0%b1%e6%bc%8f%e3%81%88%e3%81%84%e3%82%92%e9%98%b2%e3%81%90%e7%a4%be%e5%86%85%e9%81%8b%e7%94%a8%e3%81%ae%e4%bd%9c%e3%82%8a%e6%96%b9/)で確認できます。
61〜90日|現状値と目標値を比べて効果を評価する
評価で比べるのは、外部記事に掲載された一般的な効果数値ではなく、0〜30日に記録した自社の現状値と試行結果です。測定単位と対象範囲を同じ条件にそろえてから比較します。
候補となる指標は次のとおりです。
・利用対象者のうち実際に利用した人数、処理件数。
・1件あたりの作業時間、待ち時間。
・差し戻し件数、エラー件数、問い合わせ件数、手作業で補った回数。
・教育と管理に要した時間。
・月額、初期、追加の費用。
平均値だけでなく、例外処理の内容や利用しなかった理由も残します。
目標に届かなかった場合は、原因をツールそのものに限定せず、対象業務の選び方、手順、教育、権限設定、測定条件のどこに問題があったのかを分けて確認します。KPIと判断手順を補足したい場合は、[AI導入の費用対効果をどう測る?削減時間だけに頼らないKPIと判断手順](https://www.axdx-labo.com/ai-introduction-roi-kpi/)も参照できます。
90日目の判断ゲート|継続・修正・延期・中止を決める
90日目は全社展開を前提にせず、効果、安全性、運用負担、経営目的との整合性を確認します。次の四区分はAXDXラボ独自の判断枠組みです。
・継続:測定した指標に改善があり、安全要件と運用体制を満たし、費用と負担を受け入れられる。対象範囲と次回評価日を決める。
・修正:改善の可能性は確認できたが、手順、教育、設定、対象範囲に直すべき点がある。修正内容と再試行の期限を決める。
・延期:評価に必要な件数や期間が足りない、安全要件や契約条件の確認が残る、担当時間を確保できない。未確認事項を解消して再判定する。
・中止:経営目的との関係が乏しい、改善が確認できない、許容できない安全上の問題や運用負担がある、代替手段の方が条件に合う。データ回収、アカウント停止、契約終了、記録保管を行う。
判断記録に残す項目は、採用した区分、根拠となる自社測定値、未解決課題、承認者、次回評価日です。複数部署への展開は別の判断として扱い、一業務の試行結果だけで範囲を広げないようにします。
よくある失敗、外部支援・補助金の確認方法、FAQ
本記事の整理では、初動で避けたい状態を次の六つに分けます。
(1)ツール名から検討を始める。
(2)経営目的が曖昧なまま現場へ任せる。
(3)現状値を取らずに試す。
(4)安全確認を契約後へ回す。
(5)試行中に対象を広げる。
(6)終了条件を決めない。
いずれも、0〜30日の成果物と中断条件を先にそろえておけば、該当の有無を確認しやすくなります。
社内に契約、情報セキュリティ、業務設計の知見がない場合は、公的相談窓口や外部専門家の利用を検討します。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21『DXを進める』は、経営者、社内担当者、外部専門家の役割を確認する参照先です。製造分野では、独立行政法人情報処理推進機構の『中小規模製造業者の製造分野における DX推進ガイド活用 徹底討論セミナー Q&A』も確認できます。
補助制度は、名称、公募期間、対象経費、申請要件、交付決定前の契約可否が変わる可能性があります。申請を検討する時点で、制度の公式ページ、公募要領、更新日、問い合わせ先を確認し、利用可否が未確認の段階では補助を前提に契約しないようにします。
この節に関するよくある質問は、記事末尾のFAQにまとめています。
経済産業省・IPA・中小企業基盤整備機構の一次資料
DXの定義、経営者の役割、安全管理、支援制度を確認するときは、紹介記事で済ませず、発行元の資料に戻って確認します。本記事で内容を根拠として扱った一次資料は次のとおりです。
・発行元:独立行政法人中小企業基盤整備機構。資料名:J-Net21『DXを進める』。経営者、社内担当者、外部専門家の役割を確認する。
・発行元:独立行政法人情報処理推進機構。資料名:『中小規模製造業者の製造分野における DX推進ガイド活用 徹底討論セミナー Q&A』。目指す姿と現状の差、データ収集、目的に応じた手段選択を確認する。
・発行元:東京都。資料名:『人手不足時代を乗り切るために 中小企業の「小さなデジタル化」はどこから始める?』。クラウド利用前の権限、認証、バックアップ、退職者対応、契約終了時のデータ回収を確認する。
経済産業省の『中堅・中小企業等向けDX推進の手引き』は資料名のみ確認でき、本文内容を確認できていないため、本記事の事実認定には用いていません。参照する場合は、経済産業省の公式掲載ページで本文、版、改訂日を確認してください。
よくある質問
中小企業のDXは何から始めればよいですか?
経営課題を一つ決め、その課題に関係する業務の担当、実施頻度、所要時間、待ち時間、転記、ミス、扱う情報を記録することから始めます。製品比較は、現状値と評価方法を決めた後に行います。
DX専任者がいなくても進められますか?
本記事の整理では、経営者、兼任DX担当者、現場代表の責任を分け、各人が割ける時間の上限を決めて、一業務に限定して試します。必要な確認を社内で担えない場合は、範囲を狭めるか外部支援を検討します。
最初に試す業務はどのように選びますか?
経営目的との関係、影響範囲、実施頻度、実行のしやすさ、安全性を同じ表で比較します。安全上の重要な確認が残る業務は延期し、現状値を測れて元の手順へ戻せる一業務を候補にします。
ツールを導入しない方がよいのはどのような場合ですか?
改善したい課題や評価方法が定まっていない、責任者や試行時間を確保できない、機密情報や個人情報の入力可否が決まっていない、権限・復元・契約終了時のデータ回収を確認できない、のいずれかに当てはまる場合は、契約や本番データを使った試行を延期します。
90日後の効果はどのように測りますか?
0〜30日に記録した自社の現状値と、試行中に同じ単位で測った作業時間、件数、エラー、差し戻し、問い合わせ、管理時間、費用を比べます。外部記事の効果数値は、自社の成果としては扱わない前提で読みます。
補助金を使ってからDXを始めるべきですか?
補助制度の有無より先に、経営課題、対象業務、評価方法を整理します。制度を利用する場合は、申請を検討する時点の公式ページと公募要領で対象、期間、契約時期などを確認し、採択や交付を前提に契約しないようにします。
まずは改善したい経営課題を一つ選び、対象業務の担当・実施頻度・所要時間・待ち時間・ミス・扱う情報を一枚の棚卸し表に記録することから始めてください。
90日で何をするかは、公的資料の段階と対応する
総務省「令和8年版 情報通信白書」は、AI導入・活用による効果創出のステップを2つの段階で整理しています。第一段階は、比較的安価で導入しやすい汎用AIを社員の個人作業で活用することを組織的に浸透させ、AIの特性と適用可能な業務への理解を社内全体で深めること。第二段階は、経営戦略・経営方針に基づいて人間と生成AIとの協業の在り方を検討・定義し、組織的な取組として業務プロセス全体をAI前提で変革することです。
最初の90日は、第一段階に相当します。ここで第二段階の話を持ち込むと、決めることが増えて動き出しません。
| 時期 | やること | 白書の段階との対応 |
|---|---|---|
| 1〜30日 | 対象を1業務に決め、現状の時間を測る | 第一段階の前提づくり |
| 31〜60日 | 安全に使える環境と、入力してよい情報の線引きを用意する | 第一段階(情報漏えい対策とルールの整備・周知) |
| 61〜90日 | 1業務で試し、二人目が同じ結果を出せるか確かめる | 第一段階(活用シーンと効果の実感) |
| 90日以降 | 続ける・やめる・広げるを判断する | 第二段階へ進むかどうかの判断 |
白書は、汎用的なAIツールが導入されても一部の積極的な社員が活用するのみで、全社的な活用と効果創出に至らない可能性もあると記載しています。90日の終わりに判断を置いておかないと、この状態のまま時間だけが過ぎます。
情報処理推進機構(IPA)が2026年7月に公表した調査のポイントでも、国内企業においてDXは普及しAI導入も着実に広がっている一方、業務効率化の段階から新たな価値創出やビジネス変革へと発展させることが今後の重要な課題であることが示された、とされています。
出典
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部 AI導入・活用による効果創出のステップ 2026年9月2日確認
- 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026調査のポイント 広がるAI導入、DXは変われるか」(2026年7月16日発表) 2026年9月2日確認
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