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中小企業の集客・マーケティング施策の事例|公的資料で確認できる6社と、10〜20名の会社への当てはめ方

集客の成功事例は支援会社の宣伝が多く、母数も期間も確かめられません。公的資料で企業名と規模が確認できる6社(3人〜約1,500人)に絞ると、最初に効いていたのは新しい集客ではなく取りこぼしを止めることでした。施策を4つの型に整理し、自社に当てる4条件と3か月の順序まで扱います。

中小企業の集客・マーケティング施策の事例|公的資料で確認できる6社と、10〜20名の会社への当てはめ方

先に結論:検証できる事例に絞ると、入口は集客の手前にある

中小企業の集客の事例を探すと、支援会社が自社の宣伝として公開しているものが多く出てきます。半年で予約が1.5倍、問い合わせが3倍といった数字は並んでいても、どの会社のどの期間の話なのかを第三者が確かめられない形で書かれていることがあります。この記事では、公的機関が公表している事例だけを材料にしました。企業名と規模が明示されていて、出典のページをその場で開けるものに限っています。

  • 検証できる事例で最初に効いていたのは、新しい集客ではなく取りこぼしを止めること
  • レジ担当者が価格を覚えられず、一番安い惣菜の価格を打ち込んでいた会社がある(大津屋・205人)
  • データを出すのに数日かかる状態では、売り場の判断が間に合わない(グッデイ・約1,500人)
  • 広告は「不慣れな人が兼任している業務」から入ると当てやすい(オプトサイエンス・33名)
  • 3人の会社でも、無料のツールを1週間ずつ試して15個に絞り、売上が30%増えている(イヴニングスター・3人)
  • 規模が近い事例ほど数字は小さい。公表されている大きな数字は、ほぼ従業員100名以上の会社のもの
  • 自社に当てる前に確かめるのは4つ。顧客の数え方・記録の置き場所・判断する人・やめる基準

以下は事例の紹介で終わらせず、10〜20名の事務系の会社に当てる場合の順序まで書いています。規模や業種が違う事例は、どこが違うのかを各社の項目に明記しました。

「成功事例」が検証しにくい理由と、この記事の材料

支援会社が公開する事例は、数字の前提が書かれないことがある

集客の施策は、代行や制作を請け負う会社が実績として紹介する形が目立ちます。そこで示される数字は、母数や期間、同時に動いていた別の施策が省かれていることがあります。増えたのが問い合わせの件数なのか、資料請求を含む合計なのか、比べている相手が前年なのか前月なのかで、同じ「3倍」が別のことを指してしまいます。当方は、検証できない数値を記事に使わない方針を取っています。

公的資料の事例は、企業名と規模が書かれている

中小機構のJ-Net21や経済産業省のDXセレクションに載っている事例は、企業名、所在地、従業員数、事業内容が明示されています。読者が出典のページを開いて、自社との距離を自分で測れる形です。一方で弱点もあり、成果が出たあとに整理されたものなので、途中でやめた施策や、うまくいかなかった期間は載りにくくなります。

この記事で扱う6社と、読者との距離

扱うのは次の6社です。生成AIの用途ごとの事例は中小企業の生成AI活用事例16選にも整理しています。従業員3人から約1,500人まで幅があります。読者は従業員10〜20名の事務系の会社を想定しているため、規模が離れている事例から持ち帰れるのは、数字ではなく順序のほうです。

企業公表規模業種集客・販路に関わる取り組み出典にある結果
イヴニングスター3人Web制作無料ツールの選別、既存顧客への案内年間約252時間の可処分時間、売上高30%程度増
オプトサイエンス33名商社広告の文案作成、専門文書の翻訳・要約広告の反応が平均2倍以上
三城47名オフィス用品販売営業日報と顧客情報のデータ化とAI分析移動工数 約2,000時間/年の削減
ネクサスエージェント212名不動産全社員への実践型AI研修全社で約3,000時間/年の削減
大津屋205人小売・地域商社AI量り売り、ふるさと納税支援支援自治体の寄附額が1.7倍と16倍
グッデイ約1,500人ホームセンターPOSデータの可視化と全社共有5年間で売上高26%増(店舗数ほぼ同数)

この表の右端だけを見て自社の目標に置くと、ほぼ外れます。数字が大きいものは従業員100名を超える会社のもので、3人の会社の成果は「年間252時間」という、人の手が空いた量で表されています。規模が小さい会社ほど、公表される結果も時間の単位になります。

公的資料で確認できる6社を、1社ずつ読む

3人のWeb制作会社|無料のツールを1週間ずつ試して15個に絞った

静岡県浜松市のイヴニングスターは、代表とパートの3人で歯科医院のホームページ制作を手掛けています。DXのきっかけは2021年で、パート2人の家庭の事情でした。1人は転居、もう1人は子の入学で働ける時間が短くなる状況です。まずZoomでリモートワークを導入し、子連れ出勤も認めたうえで、地元の商工会議所が開いたDX経営塾(全10回・2022年11月から2023年3月)に参加しています(中小機構 J-Net21「中小企業とDX」、2024年2月13日掲載、2026年10月30日確認)。

進め方として記録されているのは、無料のアプリやクラウドを中心に、まず試しに入れて1週間ほど使ってから選別するという手順を繰り返したことです。最終的にGoogle Apps Scriptなど15のツールを正式に導入し、年間で約252時間の可処分時間が生まれました。無料のまま使い続けられる範囲は無料ツールの限界で整理しています。人を増やさず、多額の費用もかけずに、売上高が30%程度増えたと公表されています。

集客の面で見ると、起業期から効率的な営業の流れを作っていた点も書かれています。全国の歯科医院へファクスのダイレクトメールを送り、反応があった医院へメールマガジンで情報を配り、ホームページや他のサービスへ広げる形です。現在は40都道府県の数百の医院が顧客で、うち60ほどが繰り返し注文する先になっています。業種はWeb制作で、読者より小さい3人の会社です。規模が近いというより小さい側の例として読むほうが実態に合います。

33名の商社|広告に不慣れな営業担当者の仕事を、先に軽くした

株式会社オプトサイエンスは研究機関等を顧客とする光学機器の輸入販売の商社で、従業員は33名です。取り扱う製品の専門性が高く、営業担当者が海外論文や英語マニュアルを自分で読み込んで技術解説の文書を作っていました。広告についても、広告づくりに不慣れな営業担当者が担当しており、広告枠を有効に使えていない状態でした(経済産業省「DXセレクション2026」選定企業一覧、2026年10月22日確認)。

生成AIを使ったのは3つの場面です。海外論文の要約、英語マニュアルの翻訳、そして広告の商品選定と訴求ポイントとキャッチコピー案の出力です。結果として広告の反応は平均で2倍以上に増え、月平均5件程度だった問い合わせが、多い月には45件まで増えたと公表されています。注意が必要なのは、平均2倍以上と5件から45件が同じことを言っていない点です。45件は多い月の値で、平均ではありません。

この事例の経緯は専門文書の翻訳・要約で広告の反応が2倍になった会社にまとめています。この事例の価値は数字より、どこから手を付けたかにあります。AIを当てたのは専門性の高い業務と、本業ではない不慣れな業務の両方でした。10〜20名の会社では、広告や販促のように専任がいない業務を誰かが兼任していることが多く、後者のほうが自社に当てやすいところがあります。

47名のオフィス用品販売|日報と顧客情報をデータにしてから分析した

株式会社三城は従業員47名のオフィス用品販売会社です。営業日報と顧客情報をデータ化したうえで、過去の取引履歴をAIで分析する取り組みを行い、移動の工数を年間で約2,000時間削減したと公表されています(同上)。順序として読み取れるのは、分析の前にデータ化があったことです。

営業の記録が担当者のノートや個人のメールの中にある状態では、どの顧客にいつ何を案内したのかを後から数えられません。集客の施策を打つ前に、既存の顧客への案内が重複していたり抜けていたりする状態を直すほうが、手間に対して戻りが早い場合があります。

212名の不動産|研修を実践型にして、全社員へ広げた

株式会社ネクサスエージェントは従業員212名の不動産会社で、全社員を対象にした実践型のAI研修を行い、全社で年間約3,000時間の業務時間を削減したと公表されています(同上)。規模は読者の10倍以上あるため、全社研修という形はそのまま移せません。読み取れるのは、研修を知識の説明ではなく、実際の業務で使う形にした点です。

205人の小売|集客ではなく、値引きの取りこぼしが止まった

福井市の大津屋は創業1573年の会社で、従業員は205人です。ダイニングコンビニを運営し、店内で調理した惣菜の量り売りを行っていました。この量り売りは顧客には好評でしたが、レジを担当する従業員には負担でした。惣菜は70種類ほどあり、100g当たりの価格もまちまちで、種類と価格を覚えられず、これを苦に退職するアルバイト従業員もいたと書かれています(中小機構 J-Net21「中小企業とDX」、2025年10月14日掲載、2026年10月30日確認)。

同社はAIの画像認識で惣菜の種類を判別する量り売り会計システムを計量機器メーカー等と開発し、2019年10月から順次導入しました。従業員の負担が軽くなったことに加えて、思わぬ収益の効果が出たと記録されています。導入前は、惣菜の種類や価格が分からないレジ担当者が、顧客に迷惑が掛からないようにと一番安い惣菜の価格を打ち込んでいたことがあったのです。システムの導入でこの値引き販売がなくなり、適正な利益を得られるようになりました。

集客を増やす施策ではなく、売っている商品の代金を正しく受け取れるようになった話です。業種は小売で、惣菜の量り売りという工程は事務系の会社にはありません。それでも、担当者が覚えきれないために安いほうへ寄せてしまう形は、見積や請求の端数処理、オプションの計上漏れとして似た形で起きます。

販路の側では、2020年にふるさと納税の中間事業へ参入しています。きっかけは「北陸の自治体は取り組みが遅れている」という社員からの提案でした。2023年9月にはChatGPTを活用した返礼品の提案サービスを公開し、支援先の自治体の寄附額は、ある自治体で2022年度の4億1000万円が2024年度に7億円へ、別の自治体では2021年度の1800万円が2024年度に3億円へ増えたと公表されています。これは自治体向けの受託事業による成果であり、自社商品の集客とは性質が異なります。

約1,500人のホームセンター|「数字は見るな」から始まっている

福岡市のグッデイは北部九州で64店舗を展開するホームセンターで、従業員は約1,500人(うち正社員約600人)です。現社長が2008年に入社した当時、社員は個別のメールアドレスを持たず、店舗間のやり取りは電話とファクスがほとんどでした。現場には「数字は見るな」という文化があり、理由は「勘が鈍るから」だったと書かれています(中小機構 J-Net21「中小企業とDX」、2022年4月11日掲載、2026年10月30日確認)。

POSデータは大量にあったものの、全店舗の状況を知ろうとシステム部へ抽出を依頼すると、エクセルで集計するため数日かかると言われることが多かったそうです。経営の判断には間に合いません。転機は2014年で、社長がクラウドのデータ分析ツールを個人的に試し、試用版で使い方を学んだうえで、社内の有志数人と勉強会を続けたことでした。2015年にデータ分析のツールとグループウェアを導入しています。

効果として挙げられているのは数字だけではありません。バレンタイン商戦で、あるブランドのチョコレートの売れ行きが良いと気付いたスタッフが上司に報告したところ、いぶかしがられたものの、可視化されたデータで示すと即座に納得して売り場の強化に進んだという場面が書かれています。社長はこれを「現場で無駄な議論が起きない」と表現しました。業績は、店舗数がほぼ変わらないまま5年間で売上高が26%増えました。

規模は読者の100倍近くあり、小売業です。持ち帰れるのは、数字を見る文化が無い状態から始めた会社でも、最初は社長が個人で試して有志と勉強会を開く形だったという順序です。なお同社はLINEの公式アカウントに約26万人の友だち登録がありますが、公表時点ではキャンペーン情報とクーポンの配布にとどまり、購買履歴との紐付けは計画段階でした。**友だちの数が集客の成果に直結していない例**としても読めます。

6社の施策は、4つの型に分かれる

業種も規模も違う6社ですが、やっていることを並べ直すと4つの型に収まります。自社がどの型から入るかを決めると、比べるべき事例が絞れます。

型何をしたかこの型の事例向いている状態
取りこぼしを止める価格や条件を正しく請求できる形にする大津屋(AI量り売り)担当者が覚えきれず、安いほうへ寄せている
判断を早くする持っている数字を全員が見られるようにするグッデイ(POSの可視化)集計の依頼に数日かかり、判断が間に合わない
不慣れを埋める専任がいない業務の下書きをAIに作らせるオプトサイエンス(広告文案)広告や販促を誰かが兼任している
記録を貯める営業の記録を個人から会社へ移す三城(日報と顧客情報)誰にいつ何を案内したか数えられない

どの型も、新しい顧客を増やす話から始まっていない

4つのうち3つは、既存の商売の中の漏れや遅れを直す話です。新しい集客の手段を足したのは、オプトサイエンスの広告文案と、大津屋の新規事業だけでした。当方の見解としては、人手が足りない会社では、この順序に合理性があります。広告を打って問い合わせが増えても、対応する人が空いていなければ取りこぼすためです。

型を1つに絞らないと、どれも中途半端になる

6社はいずれも、1つの型から始めて次へ広げています。イヴニングスターは社内の作業時間を空けてから、断っていた既存顧客のリニューアル提案に動きました。大津屋は店舗の会計を直してから、ふるさと納税の支援へ進んでいます。同時に3つ動かした会社は、この6社の中にありません。

最初に効くのは集客ではなく、取りこぼしを止めること

安いほうへ寄せる判断は、記録に残らない

大津屋のレジ担当者が一番安い惣菜の価格を打ち込んでいたのは、悪意ではありません。顧客を待たせないための判断です。この種の判断は、値引きとして記録されないため、後から集計しても出てきません。事務系の会社でも、見積の端数を落とす、追加作業を請求に載せない、送料を自社負担にするといった形で、同じことが起きます。

自社で数えるなら、請求の前と後を1件ずつ比べる

当方の見解として、この漏れを見つける手順は1つです。直近の案件を5件選び、見積に入っていた項目と、実際に請求した項目を並べます。差が出た項目に、担当者が判断して落としたものが入っています。5件で1つも差が無ければ、この型は自社の課題ではないと判断して次へ進めます。

判断が遅れる状態も、同じ種類の損になる

グッデイで起きていたのは、数字が無いのではなく、出てくるまでに数日かかる状態でした。売り場の強化が商戦に間に合わなければ、その分は売れなかった結果として残ります。10〜20名の会社でこれに当たるのは、月次の試算表が翌月の中旬に出てくる状態や、どの顧客からいくら受注しているかを社長以外が知らない状態です。

見えるようにする範囲は、1つの数字から始める

全部を可視化しようとすると、着手の前に止まります。グッデイも最初は社長が個人で試し、有志数人の勉強会から始めています。当方が勧めるのは、顧客ごとの売上を月単位で並べた表を1枚だけ作ることです。表の作り方は業務棚卸し表の作り方と同じ考え方で、列を増やしすぎないほうが続きます。上位5社で全体の何割を占めているかが分かると、新しい集客より先に、既存の上位顧客への案内を増やすほうが早いかどうかが判断できます。

広告と文案は、不慣れを埋める用途から入る

オプトサイエンスが埋めたのは専門性ではなく不慣れ

広告の反応が2倍以上になった事例で、AIが担ったのは商品選定と訴求ポイントとキャッチコピー案でした。担当していたのは広告づくりに不慣れな営業担当者です。つまり埋めたのは広告の専門性ではなく、本業ではない業務を兼任している状態です。専任の担当者がいる会社では、同じ効果は出にくくなります。

文案が出ても、出す先と時期の判断は残る

出典には、広告の反応が増えた理由の切り分けが書かれていません。反応は出す媒体や時期、商材の選び方でも変わるため、生成AIだけの効果として切り分けられない形です。自社で試すなら、反応の件数より先に、文案を1本作るのにかかった時間を測るほうが、AIを使ったかどうかの差がはっきり出ます。

対外的に出す文章には、確認の工程を残す

広告の文案は社外に公開されます。断定の表現や、根拠の無い優位性の表現が混ざっていないかを、人が見る工程が必要です。当方は、社外へ出る文書についてはAIの出力をそのまま使わない形を勧めています。確認する箇所の決め方はAIの回答が正しいかどうかを確認する方法で詳しく扱っています。確認する箇所を固有名詞と数値と表現の強さの3つに絞ると、確認が形だけにならずに続きます。

3人の会社は、既存顧客への案内から動かしている

イヴニングスターが売上を30%程度伸ばしたとき、新しい広告を打ったという記載はありません。作業時間が空いたことで、それまで多忙を理由に断っていた既存顧客のホームページのリニューアルを引き受けられるようになった、という順序で書かれています。**手が空いたことが営業の機会になった**という形です。

当方の見解として、従業員10〜20名の会社でまず効くのはこの形だと見ています。新規の集客は、問い合わせから受注までの工程を誰かが担う前提が要りますが、既存顧客への案内は、相手も自社の業務を知っているため、工程が短く済みます。

事例を自社に当てる前に確かめる4条件

6社の取り組みを自社に当てるとき、一致を確かめる項目は4つです。どれかが一致しない場合は、事例の数字を流用せず、順序だけを借ります。

確かめること見る内容一致しない場合の扱い
顧客の数え方1件を会社単位で数えるか、担当者単位で数えるか件数の比較をやめ、金額の比較に切り替える
記録の置き場所顧客と案件の記録が、会社として1か所にあるか分析の前に、記録を1か所へ移す工程を先に置く
判断する人出てきた案を採否判断できる人が社内にいるかAIに提案までさせ、公開や送付は人の工程に残す
やめる基準何か月でどの数字が動かなければ撤退するか着手前に基準を決める。決めずに始めると止められない

顧客の数え方が違うと、同じ数字に見えて別の意味になる

オプトサイエンスの「月平均5件程度から多い月で45件」は問い合わせの件数です。自社が受注の件数で数えている場合、同じ尺度ではありません。問い合わせが増えても受注率が下がれば、売上は変わらないこともあります。比べるときは、分子と分母の両方を合わせます。

記録が個人の中にあるなら、分析より先に移す

三城が成果を出した順序は、データ化してから分析でした。記録が担当者のノートや個人のメールの中にある状態でAIに分析させても、入っていない取引は無かったことになります。この状態で出た結果を根拠に判断すると、記録を付けていた顧客だけが評価されます。

判断する人がいない業務は、提案までで止める

出てきた文案や提案の良し悪しを判断できる人が社内にいない場合、公開や送付までを自動にすると、誤りに気付けません。当方は、判定できる人がいる業務から始める形を勧めています。判定できる人がいない業務は、AIに案を出させて人が選ぶところまでにとどめます。

やめる基準は、着手前にしか決められない

走り出してから撤退の基準を決めると、使った費用と手間が判断に混ざります。事例の6社は、いずれも続いた取り組みとして公表されているため、やめた施策については書かれていません。公的な事例集の弱点がここで、**成果が出たあとに整理されるため、途中でやめた話は載りにくい**ところがあります。

10〜20名の会社での順序と、1か月で見る数字

順序は4段。数えるところから入る

当方が置く順序は次のとおりです。6社の入り方を、人手が限られた会社向けに並べ替えたものです。

  • 1か月目:顧客ごとの売上を月単位で並べる。上位5社の占める割合を出す
  • 1か月目:直近5件の見積と請求を比べ、落とした項目を拾う
  • 2か月目:上位顧客への案内で、まだ提案していないものを1つ選んで出す
  • 2か月目:広告や販促を兼任している人の作業のうち、下書きで足りるものを1つAIに任せる
  • 3か月目:問い合わせから受注までの工程で、誰が何日持っているかを1件だけ通して測る

3か月目までで、新しい広告の出稿は入っていません。出稿を先にすると、増えた問い合わせを受ける工程の弱い部分が、対応の遅れとして表に出てきます。

1か月で見る数字は3つに絞る

数字測り方この数字が動く意味
上位5社の売上占有率顧客別売上の上位5社 ÷ 全体下がれば顧客が分散した。上がれば依存が進んだ
見積と請求の差直近5件で落とした項目の金額0に近づけば、取りこぼしが止まった
文案1本にかかる時間着手から社内確認が終わるまでの分短くなれば、不慣れの穴が埋まった

問い合わせの件数を1か月で判断しないのは、件数が1桁のうちは月ごとのばらつきに埋もれるためです。3か月そろえてから見ると、季節や受注量の波と、施策の効果を分けて読めます。

HVLなら、広告を出す前に既存顧客の一覧を作る

以下はHVL(ハイ・ヴァーチュ・ラボ)の見解です。集客の相談を受けたとき、HVLが最初に出す宿題は媒体の選定ではありません。顧客ごとの売上を月単位で並べた一覧を作ることです。上位5社で全体の7割を超えている会社では、新規の集客より先に、その5社への案内を増やすほうが短い工程で戻ってきます。

一覧が出てから、不足している機能を足す順序に移ります。HVLのマーケティングプロパートナーは、広告やSNS、検索、サイトの改善を、現在の集客の構造と事業上の課題から整理して、必要な範囲から補う形です。現状の確認だけであれば無料マーケティング診断(約3〜5分)があり、SEO・AI検索、広告、SNS、サイト、計測環境を横断して課題と改善の優先順位を出せます。社内の業務側からAIの使い方を整えるのであればHVLのAI活用プロパートナーの範囲になります。

よくあるご質問

同業種の事例が見つからない場合はどうしますか

業種より先に、4つの型のどれに当たるかで選びます。取りこぼしを止める、判断を早くする、不慣れを埋める、記録を貯めるのうち、自社の状態に近い型の事例であれば、業種が違っても順序は参考になります。数字は業種と規模で変わるため、流用しません。

公的な事例集に載っている会社は、特別に進んでいるのではないですか

選定を通っているため、平均的な会社ではありません。ただしグッデイのように「数字は見るな」という文化から始めた記録や、大津屋のようにアルバイトが退職するほどの負担があった記録も載っています。着手前の状態が書かれている事例を選ぶと、自社との距離が測れます。

広告の文案をAIに作らせると、どこかで見た文章になりませんか

そのまま使えばなります。オプトサイエンスの事例でも、AIが出したのは商品選定と訴求ポイントとキャッチコピーの案で、最終の文章を人が整えています。自社の製品で実際に起きたことを1つ足すと、他社と同じ文章にはなりません。

集客の施策に補助金は使えますか

制度の対象や要件は年度で変わるため、この記事では断定しません。中小企業庁「2026年版中小企業白書」第2部第2章第2節には、中小企業のITツールの導入状況や、活用の効果を高めた取り組みが図表で整理されています。申請の可否は、公募要領と自社の取り組み内容を照らして判断する必要があります。

事例の数字を社内の説明に使ってよいですか

出典と規模を添えるのであれば使えます。避けたいのは、従業員200名の会社の数字を自社の目標として置くことです。説明に使うなら、結果の数字ではなく、着手した順序のほうが社内の合意を取りやすくなります。

支援会社の事例は参考にしてはいけないのですか

参考にする分には問題ありません。数値の根拠として扱わない、という区別です。母数と期間と同時に動いていた施策が書かれているかを見て、書かれていないものは「そういう話がある」という扱いにとどめます。

出典

DXセレクションの選定企業一覧に載っている数値は、各社の最終選考発表資料を基に作成されたものです。**元は各社の自己申告であり、第三者が検証した数字ではありません。**国の選定を通っている点と、企業名と規模が明示されている点が、出所不明の事例とは違います。

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AX/DX Labo. 編集部

最終更新: 2026.11.06