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属人化で休めない|手順書より先に決める、止めてよい業務

「自分が休むと業務が止まる」状態の解消は、業務の棚卸しと手順書づくりで進みます。ただし数か月かかるため、いま休めない人がいる状況には間に合いません。先に決められるのは、その担当者が1日休んだ日に止めてよい業務のほうです。1日ぶんの切り分けから始める手順を整理しました。

属人化で休めない|手順書より先に決める、止めてよい業務

担当者が1人しかいない業務があり、その人が何年も有給を使えていない。この状態を解消しようとして手順書づくりから着手すると、書く時間が取れないまま止まります。この記事では、手順書より前に決められることを扱います。想定しているのは、従業員30人から100人ほどで、専任の管理部門を置いていない会社です。

結論|手順書より先に、止めてよい業務を決める

属人化の解消は、業務の棚卸しと標準化を経て進みます。ただしこの経路は数か月単位の作業になり、いま休めない担当者がいる状況には間に合いません。先に手をつけられるのは、その担当者が1日休んだ日に「止めてよい業務」を決めるほうです。

止めてよいと決めた業務には、代わりの担当者を用意する必要がありません。手順書が要るのは、止められないと判断した業務だけになります。対象が絞られたぶん、書く量も現実的な範囲へ収まります。手順書は属人化の解消策そのものではなく、止められない業務を選び終えた後に来る作業です。

有給が取れているかは、企業規模で差が出る

厚生労働省の令和7(2025)年「就労条件総合調査」では、労働者1人平均の年次有給休暇の取得率は66.9%でした。前年調査の65.3%から上昇しています。付与日数は18.1日、実際に取得した日数は12.1日となっており、いずれも昭和59(1984)年以降で最も多い水準です。

企業規模付与日数取得日数取得率
1,000人以上18.5日12.8日69.0%
300〜999人18.4日12.3日66.8%
100〜299人17.8日11.7日65.5%
30〜99人17.4日11.3日64.9%

規模の上下で4.1ポイントの差がありました。ただしこの調査の対象は常用労働者30人以上の民営企業であり、それより小さい会社は母集団に含まれていません。産業別で見ると宿泊業・飲食サービス業が50.7%と最も低く、電気・ガス・熱供給・水道業の75.2%が最も高くなっています。

全国の平均値そのものより、自社の取得率を一度出しておくほうが判断に使えます。付与日数と取得日数は給与計算の記録から拾えるため、集計に何日もかかる作業ではありません。担当者ごとに並べると、休めていない人が誰なのかも同時に分かります。

「休めない」は3つに分かれる

休めない理由をひとまとめに扱うと、手当ての選びようがなくなります。実際には次の3つが混ざっており、必要な対応がそれぞれ違います。

何が起きているか先に効く手当て
連絡が来る判断だけが本人へ集中している判断の基準を1枚に書き出す
代われない作業そのものを本人しか処理できない次に発生したときに同席する
積み残し代行はできるが、戻ってから二度手間になる受付だけを止める

いちばん軽いのは、連絡が来る型です。判断の基準さえ書き出されていれば、本人がその場にいなくても他の人が決められます。重いのは代われない型で、ここだけは人が動く時間を確保しないと解けません。3つのうちどれなのかを先に見分けると、いきなり手順書へ向かわずに済みます。

明日からできる手当て|1日ぶんだけ書き出す

1日休んだ日に、その業務をどう扱うか(顧客へ期限を約束しているか で 2 つに分かれる図)

業務を網羅的に洗い出そうとすると、たいてい途中で止まります。1日休むと仮定して、その日に発生する業務だけを書き出す形にすると、量は10件前後に収まり、記憶からでも出せます。全体の棚卸しは、この後でかまいません。

書き出した業務それぞれに「止めてよい」「半日遅れてよい」「止められない」のどれかを付けていきます。この判断は担当者本人ではなく、決裁できる立場の人が行う作業です。本人に尋ねると、ほとんどが止められないという答えに寄ります。

本当に止められないのは、顧客へ期限を約束しているものだけです。社内向けの締切は動かせることが多く、動かして誰も困らなかった業務は、次からその扱いで構いません。多くの場合、止められない業務は3つ以内に収まります。全体の棚卸しへ進む手順は属人化を解消する業務棚卸しの進め方で扱っています。

2週間でできること|同席の順序

止められないと判断した業務は、次に発生したときに2人で処理します。教える時間を別に確保するのではなく、実際の処理へもう1人が横に座る形です。教える時間を取ろうとすると、その時間は永久に空きません。

記録は、同席した側が書きます。手を動かした順に、自分が分からなかった箇所も含めて書き残す形です。教える側が書くと、本人にとって当たり前になっている前提がそのまま抜け落ちます。

分量は1回ぶんの実例で足ります。すべての例外を網羅した文書を目指すと、完成しないまま内容だけが古びていきます。書き方を整える段階は業務標準化の進め方のほうへ送れます。

教える人がいないのは、珍しい状態ではない

同席させる人がいない、という反応は例外ではありません。厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所が79.9%を占めていました。問題点の内訳は次のとおりです。

  • 指導する人材が不足している 59.5%
  • 人材を育成しても辞めてしまう 54.7%
  • 人材育成を行う時間がない 47.4%
  • 鍛えがいのある人材が集まらない 26.7%

上位3つは、いずれも教える体制が組めないという内容でした。この調査は常用労働者30人以上の企業・事業所が対象で、事業所調査の有効回答率は54.1%です。教える人がいないことを前提に置くなら、教えずに済ませる設計、つまり止める判断と同席のほうが先に来ます。

止めて困らなかった業務は、戻さない

1日止めてみて誰も困らなかった業務には、そのまま止めておく選択があります。休ませるための一時的な措置として扱うと、担当者が戻った時点で元へ戻り、翌年また同じ状態が繰り返されます。

止めた業務を戻すかどうかは、担当者ではなく決裁する側が決める事柄です。これは法令上の要求ではなく、運用上の判断にあたります。属人化の総量が実際に減るのは、手順書が増えたときではなく、業務そのものが減ったときです。担当者が退職や契約終了で抜ける場合の段取りはシステム保守の引き継ぎにまとめています。

出典

1日ぶんの書き出しから

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編集者K

技術確認: 編集者K/ 最終更新: 2026.09.14