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AIの回答が正しいかを確認する|全部を調べ直さずに、誤りが出る場所だけを見る

生成AIの出力を全文ファクトチェックしていたら、手で書いたほうが速くなります。誤りには出やすい場所があります。事実と異なる情報の出力、利用者への過剰な同調、偏りのある出力。この3つを踏まえて、確認する箇所を絞る方法を整理しました。

AIの回答が正しいかを確認する|全部を調べ直さずに、誤りが出る場所だけを見る

AIの出力を確認しなければならないのは分かるが、全部を調べていたら意味がない。この状態で止まっている担当者に向けて書いています。想定しているのは従業員10〜20名の会社です。

確認が後回しになるのは、担当者の意識の問題ではありません。帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」では、懸念・課題として「情報の正確性」を挙げた企業が50.4%で最も多く、有効回答は1万312社でした。同じ調査で業務に活用している企業は34.5%です。使っている会社ほど、正確性をどう確かめるかという同じ壁に当たっています。

先に結論

全文を確認しません。確認するのは固有名詞、数値、日付、そして「そのとおりです」と肯定された箇所の4か所です。誤りはここに集中します。令和8年版情報通信白書は、生成AIについて事実とは異なる情報を出力してしまうハルシネーション、利用者に過剰に同調してしまうシカファンシーといった現象のほか、偏見やバイアスにつながる出力リスクも指摘されている、と記載しています。シカファンシーは見落とされます。自分の考えを述べた後にAIが同意した場合、その同意は根拠にできません。ここを確認箇所に入れるかどうかで、結果が変わります。

この記事で扱うこと

白書が挙げている3つの出力リスク。誤りが出やすい4か所と、その理由。確認にかける時間の目安。確認しても防げないこと。この4点です。

白書が挙げている3つのリスク

現象白書の記載実務での見え方
ハルシネーション事実とは異なる情報を出力してしまう存在しない制度名、実在しない条文番号、間違った日付
シカファンシーユーザーに過剰に同調してしまうこちらの前提が誤っていても、その前提に乗って答える
偏見やバイアス偏見やバイアスにつながる出力リスクも指摘されている特定の属性や立場に寄った表現が混じる

3つのうち、社内で最も見落とされるのは2番目です。誤った情報は違和感で気付けますが、同意は違和感を生みません。

確認する4か所

確認箇所なぜここか確認の方法
固有名詞制度名・法令名・製品名は、実在する名前に似た形で作られることがある検索して同じ名前が出るかを見る
数値出典を持たない数字が、断定の形で出る出典を聞き、そのURLを開く
日付・期限改正日や締切が、実際と1年ずれることがある一次情報のページで確認する
肯定された箇所こちらの前提に同調しているだけの可能性がある前提を逆にして、同じ質問をやり直す

4番目のやり方は簡単です。「この方針で問題ないですか」ではなく「この方針の問題点を3つ挙げてください」と聞き直します。問題点が出てこない場合は、質問の形を変えても同じ答えになるかを見ます。

同じAIに聞き直さず、別の場で確かめる

同じ会話の続きで「これで合っていますか」と尋ねても、直前のやり取りを前提にした答えが返ってきます。ファクトチェックの手順として市販の解説が共通して挙げているのは、別のセッションを開くか、別のサービスへ同じ問いを渡すやり方です。文脈を共有していない相手に聞けば、こちらの前提へ乗る余地がなくなります。

ただし、二つの答えが一致したことは正しさの証明になりません。学習に使われた資料が重なっていれば、同じ誤りが同じ形で出てきます。使いどころは、一致した箇所を安心材料にすることではなく、食い違った箇所を人が調べる対象として拾い出すことです。

出典を聞いたときの扱い

数値の根拠を聞くと、それらしいURLが返ってくることがあります。ここで止めないでください。返ってきたURLを実際に開きます。開けなければ、その数値は使わない。開けた場合は、そのページに同じ数値があるかを確認します。同じ数値があった場合、それが何を集計した数字かを見ます。あわせて、その数値の調査年も確認しておきます。3番目でずれることがよくあります。数値は合っているが、集計の対象が違うという形です。全企業の割合と、回答企業のうち特定の条件を除いた割合は、別の数字です。

開いたページが一次情報かを見分ける

URLが開けたとしても、そこが数字の出どころとは限りません。他社の記事が引用した数値を、さらに引き写しているだけの場合があります。数字をたどるときは、集計した本人が出しているページまで戻ってください。

ページの種類数値の扱い確認すること
官公庁・公的機関の調査ページそのまま使える調査年と集計の対象範囲
企業や団体が公表した自社調査公表元の名前を併記して使う有効回答数と調査時期
他の記事を引用した解説ページそのまま使わない引用元をたどって原典へ戻る

あわせて見るのが公表時期です。制度や料金は改定されるため、古い調査の数字が現在の値として引用されている例が珍しくありません。白書や統計は年版で内容が入れ替わるので、社外へ出す文書では年版まで添えて書きます。

確認にかける時間の目安

出す先によって、かける時間を変えます。全部を同じ厳しさで確認すると続きません。

出す先確認する範囲目安
自分の下書き・メモ確認しない0分
社内の会議資料数値と日付のみ5分
社外へ出す文書4か所すべて15〜30分
契約・見積に関わるもの4か所すべて+作成者以外の確認別工程として扱う

重要なのは、確認しない範囲を先に決めることです。決めないと、全部を軽く見るか、全部を止めるかのどちらかになります。

確認しても防げないこと

確認で防げるものと、防げないもの(内側 3 項目・外側 3 項目の範囲図)

この手順で防げるのは、出力に含まれる誤りです。出力されなかったことは防げません。

検討すべき選択肢が、そもそも挙がっていない。自社に固有の事情が、前提から抜けている。触れられていない制約が、後から問題になる。この3つは確認では拾えません。

これを補うには、渡す前に人が要点を決めておくしかありません。白紙から出させると、何が抜けたかを判断する基準が手元にない状態になります。順序の話はAIに書かせた文章を、本人が思い出せなくなるで扱っています。

誤りに気付きやすい聞き方

確認の手間は、聞き方で変わります。答えを出させる前に、確認しやすい形で出させます。

聞き方確認のしやすさ理由
「〜について教えて」低い断定と推測が同じ文体で並ぶ
「確実なことと、確認が必要なことを分けて」高い確認すべき箇所が指定される
「根拠となる資料名を各項目に付けて」高い根拠の無い項目が空欄で表れる
「この内容で問題ないですか」最も低い同調を引き出す形になる

2番目と3番目を組み合わせると、確認が必要な箇所だけが明示された状態で出てきます。全文を疑う必要がなくなります。ただし、AIが「確実」と分類した内容が本当に確実とは限らないのです。これは確認の量を減らす工夫であって、確認を不要にするものではありません。社外へ出す文書では、固有名詞・数値・日付の3つは分類に関わらず確認します。

社内で共有するときの1枚

規程を作るより、次の3行を掲示するほうが実際に守られます。

書く内容理由
社外へ出す前に、固有名詞・数値・日付を確認する誤りが集中する場所を指定する
AIが同意しても、それは根拠にならないシカファンシーへの注意を1行で示す
出典のURLは、開いて中身を見るURLがあることと、そこに書かれていることは別

よくあるご質問

確認に時間がかかり、手で書いたほうが速いです

全文を確認している可能性があります。確認する箇所を4つに絞り、出す先ごとに範囲を変えます。それでも速くならない業務は、この用途に向いていない業務です。無理に続けず、対象を変えます。

AIに「間違いはありませんか」と聞けばよいのでは

その聞き方は、同調を引き出しやすい形です。白書はシカファンシーを、利用者に過剰に同調してしまう現象として挙げています。誤りを探させるなら、問題点を挙げさせる形で聞き直すほうが結果が変わります。

確認する人を分けたほうがよいですか

社外へ出す文書と、契約や見積に関わるものは分けます。作成した人は、出力に一度納得しているため、同じ誤りを見落とします。ただし確認できる人の数には上限があるので、対象を絞ることが前提になります。

別のAIに検証させれば、人の確認は省けますか

省けません。検証する側も同じ仕組みで答えるため、誤りを別の誤りで上書きしてしまう場合があります。任せられるのは、食い違いのある箇所を洗い出すところまでです。社外へ出す文書では、固有名詞・数値・日付の3つは人が一次情報で当たります。

出典

直近でAIに作らせた文書を1つ開き、固有名詞と数値だけを確認します。誤りが出た場合、その種類を記録しておくと、次から見る場所が絞れます。確認の範囲の決め方から相談できます。お問い合わせはこちらです。

ここまでの整理を踏まえて、無料診断で現在の段階を確認できます。

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編集者K

技術確認: 編集者K/ 最終更新: 2026.09.08