この記事は、紙のタイムカードや表計算ソフトでの勤怠集計をやめたい、10〜20名の会社の経営者と総務担当者に向けたものです。製品の順位は付けません。どの軸で比べると候補が数個に減るか、比較表に出てこない費用がどこに潜んでいるか、そして集まったデータをAIと組み合わせて何ができるかを扱います。
業務の進め方そのものを先に整理したい場合は中小企業の業務改善は何から始めるか、システム選定の一般的な進め方は基幹システムの選定の進め方にあります。この記事で扱うのは勤怠だけです。
結論:比較が止まるのは打刻方法ではなく、月末の締め作業
各社の比較表は打刻方法の数を並べます。ICカード、スマートフォン、顔認証、チャットツール連携。どれも便利ですが、製品を絞る基準にはなりません。多くの会社は結局1つか2つしか使わないためです。打刻方法が10種類ある製品と3種類の製品で、実際の運用はほとんど変わりませんでした。
差が出るのは月末です。打刻漏れをどう拾うか、残業の申請と実績をどう突き合わせるか、修正した履歴が誰にでも追えるか、集計結果を給与ソフトへどう渡すか。比較で見るべきなのは、打刻した後に人が何時間使うかです。打刻そのものは、どの製品でも数秒で終わります。
もう1つ、選定の前に決めておくと早いことがあります。誰が月末の締めをやるのかです。経理が兼任している会社では、その人の作業量が減らなければ導入の効果は出ません。削減した時間の行き先は効率化しても仕事が増えるのはなぜかで扱いました。
比較を始める前に、いまの状態を数で押さえておくと判断が早くなります。月末の締めに何時間かかっているか、打刻や集計の修正が月に何件発生しているか、給与計算へ渡すまでに何回データを触っているか。この3つは、どの製品を入れても改善の対象になる部分です。
測らずに入れると、導入後に効果を説明できません。3か月後に同じ3つを数えて比べれば、効いた部分と効かなかった部分が分かります。測り方の組み立ては業務改善のKPIの決め方に整理しました。
法律が求めているのは「労働日ごとの始業・終業時刻」
比較サイトはここをほとんど書きません。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」は、使用者の責務として「労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」を挙げています。
同じ資料は、必要なのは1日何時間働いたかの把握ではないと明記しています。労働日ごとに始業時刻と終業時刻を使用者が確認・記録し、それを基に労働時間を確定する必要がある、という組み立てです。月の合計時間だけを自己申告で集めている状態は、この要件を満たしません。
この基準が適用されない働き方も示されています。事業場外で労働時間の算定が困難な者(労働基準法第38条の2)、専門業務型裁量労働制が適用される者(第38条の3)、企画業務型裁量労働制が適用される者(第38条の4)の3つです。ただし同資料は、適用されない労働者についても健康確保のため適正な労働時間管理を行う責務があるとしています。
選定で効いてくるのは次の点です。自社に直行直帰の営業がいる、現場作業で事業場外の時間が長い、といった働き方がある場合、そこをどう記録する設計になっているかを製品ごとに確認します。みなし労働時間制を使っていても、健康確保のための把握は残るためです。
記録をどれだけ残すか
労働関係の記録には保存期間が定められています。賃金台帳や出勤簿がこれに当たり、勤怠管理システムの中のデータも、この保存の対象になりえます。製品を選ぶときは、過去何年ぶんを画面から見られるか、それを超えた分はどう扱われるかを確認します。
見落としやすいのは、解約した後です。契約が切れた時点で画面に入れなくなると、保存義務を果たす手段が自社に残りません。契約の前に、解約時にどの形式で何を渡してもらえるかを聞いておくと、後で慌てずに済みます。
比較する6つの軸
以上を踏まえると、候補を絞る軸は6つに整理できます。この6つで見ると、国内の主要な製品は数個まで減ります。逆に、打刻方法の種類、画面の見た目、導入社数といった指標は、ここでは順位を動かしませんでした。
| 軸 | 確認すること | 差が出る理由 |
| 記録の単位 | 労働日ごとの始業・終業時刻が残るか。月合計だけでないか | 厚労省が求めているのは日ごとの時刻 |
| 打刻方法 | 現場の全員が同じ方法を使えるか。例外は何人出るか | 例外が出ると、その人数ぶん手作業が残る |
| 申請と実績 | 残業・有給の申請が、打刻実績と同じ画面で突き合うか | 別管理だと、月末に突き合わせる作業が増える |
| 修正履歴 | 誰がいつ何を直したかが、管理者以外にも追えるか | 追えないと、労基署の調査と社内の説明で困る |
| 給与連携 | 使っている給与ソフトへ、どの形式で出せるか | 形式が合わないと、結局手で入力し直す |
| 持ち出し | 過去の打刻データと修正履歴を、解約後に取り出せるか | 取り出せないと、保存義務を自社で果たせない |
この表を持って問い合わせると、営業担当の回答が製品ごとにはっきり分かれます。あいまいな答えが返ってくる軸が、その製品の弱い部分です。機能一覧の丸印だけでは、ここまで分かりません。
打刻方法は、現場が変えられるかで決まる

打刻方法を選ぶとき、まず数えるのは「その方法を使えない人が何人いるか」です。スマートフォンでの打刻を基本にする場合、私物の端末を業務に使ってよいかという話が先に出てきます。会社支給の端末がない会社では、ここで止まることがあります。
例外が3人を超えると、運用が二重になる
全員が同じ方法で打刻できれば、集計は自動で終わります。例外が数人出た時点で、その人数ぶんだけ別の経路で記録を集め、手で入れ直す作業が残ってしまう。経験上、例外が3人を超えたあたりから、担当者の月末作業は導入前とあまり変わらなくなりました。
例外になりやすいのは、直行直帰の営業、短時間勤務のパート、現場に電波が届かない作業者です。この3つが自社にいるかどうかを先に数えてから、打刻方法を選ぶ順序にすると、導入後の手戻りが減ります。
打刻を厳しくすると、別の問題が出る
顔認証や位置情報の取得は、打刻の正確さを上げます。同時に、従業員から見れば監視が強まったように受け取られます。導入の説明を省くと、現場の反発が先に立ち、打刻漏れがかえって増えることがあります。
改善の進め方で反発が起きる構造は業務改善が「うざい」と言われる会社に整理しました。勤怠は全員が毎日触るため、他のシステムより反応が大きく出ます。何のために記録するのかを先に伝えておくと、受け取られ方が変わります。
打刻の修正を、誰が承認するか
打刻漏れや押し間違いは必ず起きます。見るのは、修正を本人が申請して上長が承認する流れになっているか、それとも管理者が直接書き換えられる作りかという点です。後者だけしか無い製品では、誰がいつ直したのかの説明が社内でも難しくなります。
承認の流れがある製品でも、承認者が1人しか設定できない場合があります。10〜20名の会社では、その1人が休むと月末が止まります。代理の承認者を置けるかどうかは、機能一覧には載らないことが多いため、個別に確認します。承認の設計そのものの考え方は承認フローの作り方が近い話です。
給与ソフト連携は、「対応」の中身が製品で違う
比較表の「給与ソフト連携:○」は、同じ意味ではありません。少なくとも3つの段階があり、どれに当たるかで月末の作業量が変わります。問い合わせるときは、○か×かではなく、どの段階なのかを聞きます。
連携の3段階
1つ目は、CSVを書き出して給与ソフトへ取り込む形です。多くの製品がこれに当たり、項目の並びが合わなければ毎月手で直すことになります。2つ目は、特定の給与ソフト向けの書式でそのまま出せる形。3つ目は、APIで直接つながり、書き出し自体が不要な形です。
自社が使っている給与ソフトの名前を先に決めてから聞くと、回答が具体的になります。決めずに「主要な給与ソフトに対応していますか」と聞くと、1つ目の段階でも○が返ってきます。連携できる先の一覧ではなく、自社の1本について確認する進め方が早く済みます。
会計まわりのシステムをまとめて入れ替える場合は、順序の決め方が別にあります。会計システム導入の進め方で、二重入力をいつまで許容するかを先に決める考え方を扱いました。勤怠と給与も同じ順序で進められます。
勤怠だけ先に入れるか、人事労務ごと入れるか
給与計算や入退社の手続きまで含んだ製品と、勤怠に絞った製品があります。まとめて入れると連携の問題は最初から起きませんが、設定する範囲が広くなり、稼働までの期間が延びます。10〜20名の会社では、勤怠だけを先に動かし、締めが安定してから次へ進む順序が現実的でした。
まとめて入れる判断が向くのは、給与計算を外部へ委託していて、その委託先を変える時期が重なっている場合です。どちらにしても作業が発生するため、同時に動かすほうが結果的に短く済みます。逆に、いまの給与の仕組みに不満が無いなら、動かす範囲を狭くしたほうが失敗の幅が小さくなります。
費用の形と、やめるときに残るもの
勤怠管理システムの費用は、従業員1人あたりの月額で示されることが多くなっています。この形は人数が読めるぶん試算しやすい一方、月額に含まれない部分が3か所あります。見積もりの段階で、ここを聞いておくと後で驚きません。
| 見えにくい費用 | 聞くこと | 効いてくる場面 |
| 初期設定 | 就業規則に合わせた設定を誰がやるか。有償か | 変形労働時間制やシフトがあると工数が増える |
| 最低料金 | 人数が少ない月でも下限額があるか | 10名前後だと、1人単価より下限額が効く |
| 停止後の保管 | 解約後にデータを何か月置けるか。有償か | 労働関係の記録は一定期間の保存が要る |
やめるときに何が残るかは、契約の前に確認します。取り出したいのは打刻の生データと、修正の履歴です。集計後の月次データだけを渡す製品があり、その場合は日ごとの時刻という要件を自社で満たせなくなります。移行先が決まっていなくても、取り出せる形式だけは先に聞いておきます。
補助金を使える場合もあります。業務改善助成金は、設備投資を通じて事業場内最低賃金を引き上げる事業者を対象とした制度で、勤怠管理のシステム導入が対象に入りうる。条件は年度ごとに変わるため、申請前に最新の案内で確認します。
人数が増えたときに、単価が変わるか
従業員1人あたりの月額は、人数の段階によって変わることがあります。10名の見積もりで比べて決めたあと、20名になった時点で単価が下がる製品と、変わらない製品に分かれました。採用の計画がある会社は、現在の人数と2年後の想定人数の2通りで試算を出してもらうと、比較の結果が変わることがあります。
逆に、人数が減る方向も聞いておきます。年間契約で人数の下限が決まっている場合、繁忙期に合わせて契約すると、閑散期も同じ額を払い続けることになります。月ごとに人数が動く業種では、ここが年間の総額を左右します。
見積で金額が動く3か所
1人あたりの月額が同じでも、総額は揃いません。打刻の方法ごとに機器の費用が別に立ち、締めの処理を代行してもらうかで初期費用が変わります。見積では、月額に含まれない項目を項目ごとに聞いておきます。
- 人数の数え方:契約した席数か、その月に打刻した人の数か
- 打刻の機器:読み取り端末やカードの費用が、別に立つか。何台必要か
- 就業規則の作り込み:例外の勤務形態を設定する作業を、どちらがやるか
- 給与ソフトへの連携:対応の範囲が上位プランだけか。書き出しの形式は何か
- 法改正への対応:改正のたびに費用がかかるか、月額に含まれるか
- 最低利用期間:何か月の縛りがあるか、途中で人数を減らせるか
3番目の就業規則の作り込みが、総額を動かします。例外の勤務形態が多い会社では、設定の工数がそのまま初期費用になります。自社の例外を数えてから見積を取ると、金額の根拠が読めるようになります。
提案を受けたときに聞くこと
勤怠管理システムは、法令への対応をうたう製品が並びます。知りたいのは、対応の中身と、自社の例外が設定で表せるかどうかです。導入事例の数より、同じ規模で設定しきれなかった例を聞いたほうが判断の材料になります。
- 自社と同じ規模で導入し、運用が二重になった例はあるか。何が原因だったか
- 例外の勤務形態をいくつまで設定できるか。上限があるか
- 打刻の修正を誰が承認する設計か。承認者が不在のときの既定はどうなるか
- 記録が何年残るか。保存期間を過ぎた分は消えるか、書き出しを促されるか
- 契約が切れたあと、打刻と修正の記録を書き出せるか。形式は何か
- 書き出しに費用がかかるか。自社の操作でできるか、依頼が要るか
4番目の保存期間は、法令で求められる年数との関係で確かめます。製品の保存期間が短いと、期間を過ぎた分を自社で持つことになります。書き出して保管する手順を、導入のときに決めておくほうが安全です。
断ったほうがよい提案の形
提案の出し方で判断できることがあります。次のいずれかに当てはまるときは、その場で決めずに候補を並べ直したほうが、あとで困りません。法令への対応を強みとして並べるだけの提案は、中身を伏せています。
- 自社の例外の勤務形態を聞かないまま、設定できると言う
- 「法改正に自動で対応」と説明し、何が自動で、何が手作業かを分けない
- 導入事例の企業名も規模も出さず、工数の削減率だけを並べる
- 給与ソフトとの連携を対応と言うだけで、書き出しの形式を示さない
- 契約期間と、人数を減らすときの条件を、こちらが聞くまで説明しない
1番目が分かれ目になります。例外を聞かない提案は、設定しきれるかを判断していません。自社の例外に当たる人数を先に数えておくと、提案の中身を比べられるようになります。
使われなくなったときに確かめる4つ
打刻が形だけになる、という状態には段階があります。どの段階で止まっているかで、やることが違います。替えても同じことが起きる原因を先に切り分けます。修正が多すぎることが原因なら、製品を替えても同じ結果になります。
- 打刻の経路:働く場所で打てるか。出先や在宅の人が後でまとめていないか
- 修正の量:修正の申請が毎月どれくらい出ているか。数えているか
- 承認の経路:承認する人が決まっているか。不在のとき止まっていないか
- 締めの処理:締めのあとに表計算ソフトで作り直していないか
4つのうち3つは、製品を替えても同じ状態になります。替えて直るのは1つ目の打刻の経路だけです。解約の前にこの切り分けを済ませておくと、次の製品でも同じ理由で二重になることを防げます。
乗り換えるときに持ち出せるもの
別の製品へ移ると決めたら、契約が切れる前にしか取れないものがあります。期限が過ぎてから依頼しても、応じてもらえないことが多いです。システム保守の引き継ぎで渡すものの一覧と、同じ考え方で揃えます。
- 打刻の記録。法令で求められる年数の分を、年ごとに分けて書き出す
- 修正の申請と承認の記録。誰がいつ直したかが要る
- 就業規則の設定内容。例外の勤務形態をどう表したか
- 給与ソフトへ渡していた書き出しの形式と、項目の並び
- アカウント一覧と権限の設定内容。誰が承認できる設定にしていたか
1番目は、年ごとに分けておくのが要点になります。まとめて1つの書き出しにすると、後から特定の年を取り出すときに手間がかかります。移行の前に、年単位で書き出せるかを確かめておきます。
AIと併用すると、勤怠データで何ができるか
勤怠管理システムを入れると、これまで紙と記憶の中にあった時間のデータが、毎日たまる形に変わります。ここが生成AIと組み合わせる入口です。2026年版の中小企業白書は、省力化投資のうちAIを活用する目的として「業務時間の節減」が8割を超え、「人手不足の解消」「業務の属人化解消」が続くと報告しています。勤怠データは、この3つすべてに効く材料になります。
すぐできる3つの使い方
| 使い方 | 渡すデータ | 出てくるもの |
| 残業の偏りを読む | 直近3か月の部署別・個人別の残業時間(氏名は記号に置換) | 特定の曜日や工程に偏っていないかの指摘 |
| シフトの下書き | 必要人数、各人の勤務可能な曜日と時間、前月の実績 | 条件を満たす案。最終判断は人が行う |
| 就業規則の下書き照合 | 自社の就業規則の条文と、変更したい運用の説明 | 条文のどこを直す必要があるかの指摘 |
どれも、AIに決めさせるのではなく下書きを作らせる使い方です。残業の偏りは人が見ても分かりますが、3か月ぶんを部署と曜日で切り直す作業には時間がかかります。そこを数分に縮め、判断だけを人が持つ形にすると、導入の効果が表に出てきます。
渡してよいデータの線引き
勤怠データは個人情報です。氏名、社員番号、所属が揃うと特定の個人が分かるため、外部の生成AIサービスへそのまま貼り付ける運用は避けます。入力してよい情報の線引きは生成AIへ入力してはいけない情報に整理しました。
実務的な折り合いのつけ方は、氏名を記号に置き換えてから渡す方法です。残業の偏りを見るだけなら、誰かが分からなくても分析は成立します。シフトの下書きのように個人を区別する必要がある場合は、社内で使える環境か、学習に使われない契約の範囲で行います。
勤怠管理システム自体のAI機能は、分けて見る
製品側が「AI搭載」と書いている場合、中身は打刻漏れの検知やシフトの自動生成であることが多くなっています。これは便利ですが、上に挙げた使い方とは別のものです。製品のAI機能で足りるのか、データを取り出して別のAIに渡す必要があるのかを分けて考えると、選定の判断が楽になります。
判断の目安は、やりたいことが毎月決まった形で繰り返されるかどうかです。繰り返すなら製品の機能に入っているほうが手間が少なく、その都度違う切り口で見たいなら、データを取り出して渡すほうが向いています。だから持ち出しの軸が効いてきます。AIに任せる範囲の決め方はAIに向いている業務の見分け方にあります。
月次の振り返りを、AIに下書きさせる
月末の締めが終わった直後が、振り返りに使える時間です。前月と当月の集計結果を並べて渡し、増えた部署と減った部署、前年同月との差を箇条書きにさせます。人が表を眺めて気づくことと大きくは変わりませんが、毎月同じ観点で出てくる点に意味があります。担当者が替わっても、見る角度がぶれません。
出てきた指摘をそのまま社内へ回すのは避けます。AIは数字の増減は読めますが、その月に大口案件があった、採用が1人増えた、といった事情を知りません。下書きに人が事情を書き足してから配る順序にすると、説明の手間が減ったうえで内容の正しさが保てます。
使わないほうがよい場面
評価や処遇の判断に直接使うのは避けます。残業時間の多寡は、担当した業務の重さや突発的な事情で動きます。数字だけを根拠に人を評価すると、短時間で終わらせた人と、仕事が少なかった人の区別が付きません。人が判断する部分を残す設計はAIと人の役割分担で扱いました。
打刻漏れの指摘を自動で本人へ送る運用も、始める前に考えます。催促が自動化されると、受け取る側には機械から詰められているように映ります。最初は担当者が内容を見てから送る形にして、様子を見ながら自動化の範囲を広げるほうが定着しました。
公的資料の事例:1日2時間から働ける前提で、勤務の形を設計した会社
勤務の形が多様な事例があります。福島県郡山市のケイリーパートナーズはバックオフィス業務の代行を手掛け、「1日2時間から」という短時間勤務を導入しています。スタッフの約5分の1が2時間勤務を選び、全体の平均勤務時間は約4時間です。業務全体の約48%が在宅で行われており、ほぼ全員が業務内容に応じて在宅勤務を選択できる仕組みになっています。一方で、基本的にリモートで働くメンバーも定期的にオフィスでチームミーティングを行っています(中小機構 J-Net21「中小企業とDX」、2025年4月28日掲載、2026年10月30日確認)。
業種は業務代行で、短時間勤務が事業の前提になっています。勤怠管理システムを比べる場面に当てると、この事例は軸の選び方を示しています。全員が同じ時間に出社する会社と、1日2時間の人と8時間の人が混在する会社では、必要な機能がまったく違います。後者では、締めの計算より先に、誰がいま稼働しているかの表示が要ります。比べる前に、自社の勤務の形を2つか3つ書き出してください。
よくあるご質問
無料の勤怠管理システムで足りますか
人数が少なく、全員が同じ勤務形態で、給与ソフトとの連携が不要なら足ります。無料枠が切れやすいのは人数の上限、データの保存期間、他ツールとの連携の3か所です。この境目は業務効率化の無料ツールはどこまで使えるかで扱いました。
おすすめはどれですか
順位は付けていません。絞る順序としては、まず給与ソフトへの連携が成立する製品だけを残し、次に例外になる人数が最も少ない打刻方法を持つものを選び、最後に持ち出しの条件で比べます。この順で見ると、多くの会社で候補は2つか3つになります。
表計算ソフトでの管理は、いつまで続けられますか
日ごとの始業・終業時刻が残り、修正の履歴が追え、保存期間を満たせるなら続けられます。実際に問題になりやすいのは修正履歴です。上書きで直していると、いつ誰が何を変えたかが残りません。ここが追えなくなった時点が、入れ替えを考える目安になります。
出典
- 厚生労働省 兵庫労働局「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」 2026年10月17日確認
- 中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第2部第2章第2節 労働投入量の最適化(第2-2-89図、第2-2-94図) 2026年10月17日確認
- 厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」 2026年10月17日確認
自社の例外が何人かを数えるところから
当方なら、例外の人数を数えてから製品を見る
以下は当方の見解で、法令上の要求ではありません。勤怠の相談を受けたとき、当方が最初にやるのは製品の比較ではなく、同じ打刻方法を使えない人を数えることです。ここが3人を超えると、どの製品を入れても月末の手作業が残ります。製品選びで解ける問題ではなくなる。
例外が多い場合は、打刻方法を増やすより勤務の組み方を見直すほうが早いことがあります。シフトの構造まで含めて整理するのはAX/DXコンサルティングの範囲です。まず現状を数字にしたいだけなら無料診断から入れます。
6つの軸のうち、社内だけで決められるのは最初の2つです。日ごとの時刻が残る形になっているか、そして同じ打刻方法を使えない人が何人いるか。この2つを数えてから製品を見ると、候補の絞り込みが早く終わります。数え方や、給与ソフトとの連携の確認で迷う場合は、お問い合わせから相談できます。
HVLなら、例外の人数を数えてから製品を見る
以下はHVL(ハイ・ヴァーチュ・ラボ)の見解です。勤怠の仕組みで合わなくなるのは、大多数の働き方ではなく、数人の例外です。直行直帰、時間単位の有給、固定残業の扱いが例外として何人分あるかを数えると、必要な機能が先に決まります。HVLはこの人数を先に出します。
人数が分かれば、設定で済むか運用で回すかの判断ができます。HVLのAI活用プロパートナーでは、部門横断の定型業務や情報共有の流れを確認する社内業務の領域を支援に含みます。支援範囲は対象業務と利用環境、社内体制、契約内容を確認して決めます。
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